バーチャルオフィスは万能ではない——契約前に知るべきこと
バーチャルオフィスは月額数百円からビジネス住所を持てる便利なサービスだ。筆者自身、フリーランスとして独立した際にGMOオフィスサポートを契約し、現在も渋谷の住所を利用している。コスト面でも信頼性の面でも満足しており、契約して後悔したことはない。
ただし、バーチャルオフィスは万能ではない。実際に使ってみて「事前に知っておけばよかった」と感じた点もあるし、業種や用途によっては致命的な問題になりかねないポイントもある。
本記事では、バーチャルオフィスのデメリットを7つに整理し、それぞれの具体的な対策まで解説する。これから契約を検討している方は、ぜひ最後まで読んでほしい。
デメリット1:許認可が取れない業種がある
バーチャルオフィスで最も注意すべきデメリットがこれだ。業種によっては、事業所の実体がないと許認可を取得できない場合がある。
具体的には、以下のような業種ではバーチャルオフィスの住所で許認可申請ができないケースが多い。
- 士業(弁護士・税理士・司法書士など):各士業法で事務所の設置が求められる
- 人材派遣業:厚生労働省の許可要件に独立した事業所が含まれる
- 古物商:管轄の警察署によっては認められない場合がある
- 建設業:営業所として認定される実体のある事務所が必要
- 不動産業(宅建業):専用の事務所スペースが必要
筆者はWeb系のフリーランスなので許認可の問題はなかったが、知人の行政書士は「バーチャルオフィスでは開業届が受理されなかった」と話していた。
対策
契約前に、自分の業種で許認可が必要かどうかを必ず確認しよう。管轄の行政機関に直接問い合わせるのが最も確実だ。許認可が必要な場合は、レンタルオフィスやシェアオフィスなど実体のある事務所を検討する必要がある。
デメリット2:銀行口座の開設が難しい場合がある
法人口座を開設する際、バーチャルオフィスの住所だと審査が厳しくなるケースがある。これは銀行側がマネーロンダリングや詐欺防止の観点から、事業実態を慎重に確認するためだ。
特にメガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)はバーチャルオフィスの法人に対して審査のハードルが高いと言われている。実際、筆者の周りでも「メガバンクで法人口座を断られた」という話は珍しくない。
ただし、まったく開設できないわけではない。筆者の場合、GMOオフィスサポートを利用していたおかげで、連携先であるGMOあおぞらネット銀行での口座開設は比較的スムーズだった。
対策
以下の3つの方法で対策できる。
- ネット銀行を活用する:GMOあおぞらネット銀行や住信SBIネット銀行は、バーチャルオフィスでも比較的柔軟に対応してくれる
- 事業計画書をしっかり準備する:具体的な売上見込みや取引先を明記した事業計画書を用意すると審査通過率が上がる
- バーチャルオフィス運営元と提携している銀行を選ぶ:GMOオフィスサポートならGMOあおぞらネット銀行との連携があり、口座開設がスムーズ
デメリット3:郵便物の転送に時間がかかる
バーチャルオフィスでは郵便物がまず運営元に届き、そこから自宅などに転送される仕組みだ。そのため、通常の郵便より受け取りまでに数日〜1週間程度のタイムラグが発生する。
筆者が利用しているGMOオフィスサポートの月1転送プランでは、毎月末にまとめて転送される。普段は問題ないが、確定申告の時期に税務署からの書類が届いた際は少し焦った。
また、簡易書留や本人限定受取郵便など、一部の郵便物はバーチャルオフィスでは受け取れないケースもある。
対策
- 転送頻度の高いプランを選ぶ:GMOオフィスサポートなら週1転送プラン(月額2,750円)を選べば、最短で届く
- 即時転送オプションを活用する:急ぎの郵便物がある場合はスグ転送(550円/回)で即座に発送してもらえる。筆者も何度か利用した
- 重要な書類は直接自宅に届くよう手配する:税務署や銀行からの書類は、送付先住所をあらかじめ自宅に指定しておくのも手だ
デメリット4:社会的信用が低いと見られることがある
バーチャルオフィスの住所は、同じビルの同じ階に複数の企業が登録されていることがある。取引先や金融機関がその住所を検索した際に「バーチャルオフィスだな」と気づかれる可能性はゼロではない。
特に対面での取引が多いBtoB企業や、融資を申請する際には、信用面で不利になる場面があるかもしれない。
ただし正直なところ、筆者はこの問題で困った経験がない。取引先との関係は仕事の質で築くものであり、住所の形態が直接的に問題になったことはなかった。近年はリモートワークが一般化しており、バーチャルオフィスに対する社会的な理解も進んでいる。
対策
- 大手運営のバーチャルオフィスを選ぶ:GMOオフィスサポートやDMMバーチャルオフィスなど、上場企業グループが運営するサービスは住所のグレードが高い
- ビルの外観や立地を事前に確認する:一等地の立派なビルであれば、住所から受ける印象は良い
- 事業実績で信頼を積み上げる:住所よりも、実際の仕事のクオリティやポートフォリオで信用を獲得する方が本質的だ
デメリット5:来客対応や打ち合わせができない
バーチャルオフィスはあくまで「住所」を借りるサービスであり、物理的なオフィススペースは基本的に用意されていない。そのため、急な来客対応や対面の打ち合わせには使えない。
クライアントから「オフィスに伺いたい」と言われた場合、対応に困ることになる。BtoB営業や対面コンサルティングを主業とする方にとっては、大きなデメリットだろう。
筆者の場合はオンラインミーティングがほとんどのため、来客対応で困ったことはない。対面の打ち合わせが必要なときは、近隣のカフェやコワーキングスペースを利用している。
対策
- 会議室付きのバーチャルオフィスを選ぶ:GMOオフィスサポートの渋谷拠点などでは、会議室やワークスペースが利用可能だ
- コワーキングスペースを併用する:WeWorkやBIZcomfortなどの月額制コワーキングスペースを別途契約すれば、打ち合わせスペースを確保できる
- オンラインミーティングに移行する:Zoomなどのビデオ会議ツールを積極的に活用し、対面の必要性を減らすのも現実的な選択肢だ
デメリット6:住所を他社と共有するリスク
バーチャルオフィスの住所は、同じ住所を多くの企業・個人が共有して利用する。これ自体は通常問題にならないが、万が一同じ住所を利用している他社が法的トラブルや詐欺行為に関与した場合、その住所全体のイメージが悪化するリスクがある。
極端な例だが、同じバーチャルオフィスの利用者が詐欺で逮捕された場合、「その住所は怪しい」という評判が立つ可能性がゼロではない。
対策
- 審査がしっかりしている大手を選ぶ:GMOオフィスサポートをはじめとする大手サービスは、契約時に本人確認や事業内容の審査を行っている。不正利用者の排除に力を入れている運営元を選ぶことで、このリスクは大幅に軽減できる
- 利用者数が多い信頼できるサービスを選ぶ:利用者が多く、運営歴が長いサービスは、運営体制がしっかりしている証拠だ
- 定期的に自社の住所を検索する:自分が利用している住所でネガティブな情報が出ていないか、定期的にチェックしておくと安心だ
デメリット7:一部の届出・登録で住所として認められない場合がある
許認可とは別に、各種届出や登録手続きでバーチャルオフィスの住所が認められないケースがある。
たとえば、以下のような場面で問題になることがある。
- 社会保険・労働保険の届出:従業員を雇用する場合、事業所の実態が求められることがある
- 助成金・補助金の申請:一部の助成金では、バーチャルオフィスの住所では申請が通らない場合がある
- 一部の業界団体への加入:業界によっては、物理的な事業所を持つことが加入条件に含まれている
筆者は個人で活動しているため、この問題に直面したことはない。ただし、今後従業員を雇用する予定がある方や、助成金の活用を考えている方は事前確認が必須だ。
対策
- 事前に管轄機関に確認する:社会保険事務所やハローワーク、助成金の窓口に直接問い合わせて、バーチャルオフィスの住所で手続き可能かを確認する
- 将来の事業計画を見据えて契約する:今はひとりで活動していても、将来的に従業員を雇う可能性があるなら、その時点で住所変更が必要になることを頭に入れておこう
- レンタルオフィスへの切り替えも視野に入れる:事業が成長して実体のある事務所が必要になった段階で、レンタルオフィスへ移行するのは自然な流れだ
バーチャルオフィスのデメリットを軽減するサービスの選び方
ここまで7つのデメリットを紹介してきたが、サービス選びを工夫すればデメリットの多くは回避・軽減できる。選ぶ際に重視すべきポイントを整理しておこう。
運営会社の規模と信頼性
小規模な運営会社は、サービス終了や経営破綻のリスクがある。住所変更は登記変更や取引先への連絡など手間がかかるため、長期的に安定した運営が見込める大手サービスを選ぶのが賢明だ。
審査体制の厳格さ
入会審査が緩いサービスは、不正利用者が紛れ込むリスクが高い。本人確認書類の提出や事業内容の確認など、しっかりとした審査プロセスがあるサービスを選ぼう。
郵便転送の柔軟性
郵便物の転送頻度や即時転送オプションの有無は、日常的な業務効率に直結する。自分の事業で届く郵便物の量と重要度を考えて、適切な転送プランがあるサービスを選ぶべきだ。
銀行口座開設のサポート
法人化を予定しているなら、提携銀行がある(口座開設がスムーズな)サービスを選ぶと後々楽になる。GMOオフィスサポートとGMOあおぞらネット銀行の連携は、その好例だ。
まとめ:デメリットを理解した上で選べば、バーチャルオフィスは心強い味方になる
バーチャルオフィスには確かにデメリットがある。許認可の制約、銀行口座開設の難しさ、郵便転送のタイムラグ——これらは事実であり、無視すべきではない。
しかし、本記事で紹介した対策を講じれば、大半のデメリットは十分にカバーできる。そして何より、月額数百円〜数千円で都心一等地のビジネス住所を持てるメリットは、フリーランスや個人事業主にとって計り知れないほど大きい。
筆者自身、GMOオフィスサポートを利用して2年以上になるが、デメリットで本当に困った場面は正直ほとんどない。事前にデメリットを把握し、自分の業種や用途に合ったサービスを選べば、バーチャルオフィスは事業運営の心強い味方になるはずだ。
大切なのは「デメリットがあるから使わない」ではなく、**「デメリットを知った上で、自分に合ったサービスを賢く選ぶ」**という姿勢だろう。
これからバーチャルオフィスの契約を検討している方は、まずは大手で信頼性の高いサービスからチェックしてみてほしい。