NAWABARIとDMMバーチャルオフィス、どちらもバーチャルオフィスとして人気があるが、この2社はそもそもの強みがまったく違う。
先に結論を書く。ネットショップの特商法対策が目的ならNAWABARI、法人登記や総合的なビジネス利用ならDMMだ。
NAWABARIはBASEの公式パートナーでEC運営者の住所公開問題に特化している。DMMはDMMグループの資本力を背景に、全国14拠点・会議室完備・法人登記対応と総合力で勝負しているサービスだ。目的が違えば選ぶべきサービスも変わるので、この記事でその判断基準を整理する。
筆者自身はどちらも利用していない。合同会社を設立する際に複数のバーチャルオフィスを比較検討し、最終的にGMOオフィスサポートを選んだのだが、その過程でNAWABARIとDMMの特徴はかなり調べた。公式情報をベースに、忖度なしで比較していく。
GMOオフィスサポートで法人登記し、銀行口座・クレカも開設済み。NAWABARIとDMMは公式情報+ネット上の評判をベースに客観的に比較している。
NAWABARIとDMMバーチャルオフィスの比較表
まず全体像をつかむために、主要な項目を一覧で比較する。
| 比較項目 | NAWABARI | DMMバーチャルオフィス |
|---|---|---|
| 月額料金 | 1,100円〜 | 660円〜 |
| 初期費用 | 0〜5,500円(1年契約で0円) | 5,500円 |
| 法人登記 | 非対応 | 対応(月額2,340円〜) |
| 拠点数 | 目黒1拠点 | 全国14拠点 |
| EC/特商法対応 | 特化(BASEパートナー) | 利用可能 |
| プライバシーマーク | 取得済み | なし |
| 郵便転送 | あり(プランに含む) | あり(オプション) |
| 電話サービス | 電話要件転送 | AI秘書 |
| 会議室 | なし | 全拠点に完備 |
| 最低契約期間 | 1ヶ月〜 | 12ヶ月〜 |
表だけ見ると「DMMのほうがスペックが高い」と感じるかもしれない。拠点数も多いし、法人登記もできるし、会議室もある。でも、ネットショップ運営という目的に絞ると、話が変わってくる。ここからは項目ごとに掘り下げていく。
NAWABARIとDMMの料金比較
月額料金だけならDMMが安い
単純な月額料金は、DMMが660円〜、NAWABARIが1,100円〜。月額だけ見ればDMMのほうが440円安い。
ただし、DMMの660円プランは「住所利用のみ」だ。郵便転送を付けるとオプション料金が上乗せされるし、法人登記プランなら月額2,340円〜になる。一方、NAWABARIの1,100円には郵便転送が含まれているので、実際にネットショップで使うことを考えるとトータルコストの差は見た目ほど大きくない。
初期費用の違い
初期費用はNAWABARIが有利だ。NAWABARIは1年契約で初期費用0円。月単位の契約だと5,500円かかるが、1年使う前提なら初期費用ゼロで始められる。
DMMは一律5,500円の初期費用がかかる。ここだけで見ると、1年以上使う予定ならNAWABARIのほうがスタートコストは低い。
年間コストで比較するとどうなるか
NAWABARIを1年契約(初期費用0円+月額1,100円×12=年間13,200円)、DMMの最安プラン(初期費用5,500円+月額660円×12=年間13,420円)で比較すると、初年度のトータルコストはほぼ同じ。DMMは月額が安いが初期費用で差し引かれて大差がない。NAWABARIはEC特化の機能込みの金額なので、コストだけで決めるのはもったいない。
ネットショップ運営に必要な機能で比較
料金の次は、ネットショップ運営者にとって本当に重要な機能で比較する。ここがNAWABARIとDMMの最大の違いだ。
特商法対応:NAWABARIはEC運営者のために作られたサービス
ネットショップを開設すると、特定商取引法に基づいて事業者の住所を公開する必要がある。自宅住所を載せたくないからバーチャルオフィスを検討している、という人が大半だろう。
この点で、NAWABARIはBASEの公式パートナーという強みがある。BASEだけでなくSTORESやShopifyなどのECプラットフォームでも使えるが、「BASEが公式に認めている」という事実は信頼性の裏付けになる。
DMMの住所を特商法の表記に使うことも制度上は可能だ。ただし、DMMはあくまで汎用的なバーチャルオフィスで、EC運営に特化した機能やサポートがあるわけではない。「特商法対策」というピンポイントの目的なら、それ専用に設計されたNAWABARIのほうが安心感がある。
特商法と住所表示の詳しいルールは特定商取引法の住所表示にバーチャルオフィスは使える?で解説している。
プライバシーマーク:NAWABARIは取得済み
NAWABARIはプライバシーマーク(Pマーク)を取得済みだ。これは個人情報の取り扱いについて第三者認証を受けていることを意味する。
ネットショップ運営者は顧客の氏名・住所・決済情報といった個人情報を日常的に扱う。バーチャルオフィスに届く郵便物にも顧客情報が含まれるケースがあるので、個人情報保護の体制がしっかりしているかどうかは地味に重要なチェックポイントだ。
DMMはDMMグループという大手の安心感はあるが、バーチャルオフィス事業単体でのプライバシーマーク取得はない。大手グループだから管理体制がずさんだとは言わないが、「第三者のお墨付き」があるかないかの差は確かにある。
郵便転送:NAWABARIはプランに含まれている
ネットショップを運営していると、返品や不在再配達など、郵便物が届く頻度は意外と高い。
NAWABARIの郵便転送はプラン料金に含まれている。追加費用を気にせず転送してもらえるのは、EC運営者にとってありがたいポイントだ。
DMMの郵便転送はオプション扱い。住所利用のみの最安プランでは転送がつかないので、郵便転送も必要なら上位プランに切り替えるか、オプション料金を払う必要がある。
ちなみに筆者がGMOオフィスサポートを選んだ理由のひとつも、郵便転送料が月額に含まれていた点だった。転送のたびに「いくらかかるんだろう」と考えるのは精神衛生上よくない。固定費で計算できるほうが楽だ。
ネットショップ以外の機能を比較
ここまではネットショップ運営者目線で比較してきたが、それ以外の機能ではDMMが強い。将来的に事業を広げる可能性がある人向けに、この違いも整理しておく。
法人登記:DMMは対応、NAWABARIは非対応
NAWABARIでは法人登記ができない。これは明確な制約だ。
今はネットショップを個人事業主として運営していても、売上が伸びてきたら法人化を検討するかもしれない。そのとき、NAWABARIの住所では法人登記ができないので、別のバーチャルオフィスに乗り換える必要が出てくる。登記住所の変更には手間も費用もかかるので、将来の法人化が視野にあるならDMMのほうが柔軟だ。
DMMは月額2,340円〜で法人登記に対応している。「今は個人事業だけど、1〜2年以内に法人化するかもしれない」という段階なら、最初からDMMを選んでおくのも合理的な判断だ。
法人登記の具体的な流れはバーチャルオフィスで法人登記する方法と注意点を参考にしてほしい。
会議室:DMMは全拠点に完備
DMMバーチャルオフィスは全14拠点すべてに会議室がある。NAWABARIには会議室サービスがない。
正直なところ、ネットショップ運営で会議室を使う場面はそこまで多くない。ただ、仕入れ先との商談や取引先との打ち合わせが発生する業態なら、会議室があると便利だ。
電話サービス:方向性が違う
NAWABARIには電話要件転送(電話の内容をメール等で知らせてくれる)、DMMにはAI秘書(AIが一次対応して用件を取り次ぐ)がある。どちらも自分の電話番号を教えずに済むが、人が介在するNAWABARIのほうが柔軟、DMMのAI秘書は24時間対応できるという違いがある。
拠点数と契約期間
拠点数はDMMが圧倒的
拠点数はDMMが14拠点、NAWABARIが1拠点で圧倒的にDMMが多い。ただし、ネットショップの特商法表記に使うだけなら住所は1つあれば十分なので、拠点数の多さが直接のメリットになるかは用途次第だ。
最低契約期間の差に注意
最低契約期間は、NAWABARIが1ヶ月〜、DMMが12ヶ月〜。この差は大きい。NAWABARIは合わなければすぐに解約できるが、DMMは最低1年の縛りがある。バーチャルオフィスを初めて使う人にとって、いきなり1年契約はハードルが高いかもしれない。
NAWABARIとDMMバーチャルオフィスの用途別おすすめ
ここまでの比較を踏まえて、用途別にどちらが向いているかを整理する。
NAWABARIが向いている人
BASEやSTORESでネットショップを運営していて、特商法の住所対策が目的の人はNAWABARI一択だ。BASEパートナー、Pマーク取得済み、郵便転送込みの料金設計。EC運営者の「住所を公開したくない」という悩みに正面から応えるサービスだ。
まず短期間で試してみたい人にも向いている。最低契約1ヶ月なので、気軽に始められる。個人情報の管理が気になる人もプライバシーマークの第三者認証があるNAWABARIのほうが安心だろう。
NAWABARIの詳しい特徴はNAWABARIの口コミ・評判で解説している。
DMMバーチャルオフィスが向いている人
法人化を見据えている人
将来的に法人化を視野に入れている人はDMMが無難だ。NAWABARIでは法人登記ができないので、事業が成長した先で住所を変更する手間が発生する。最初からDMMにしておけば、個人事業から法人への移行がスムーズだ。
複数ビジネスを並行している人
ネットショップ以外のビジネスも並行している人にもDMMが向いている。全国14拠点で会議室も使えるので、ECだけでなくコンサルやフリーランスとしての活動も兼ねている場合は、DMMの汎用性の高さが活きてくる。
地方の住所が必要な人
東京以外の住所が必要な人もDMM一択。NAWABARIは目黒の1拠点のみなので、大阪・名古屋・福岡など地方の住所が欲しいならDMMを選ぶしかない。
DMMの詳しい特徴はDMMバーチャルオフィスの口コミ・評判にまとめている。
筆者が比較検討した際の所感
僕の場合は合同会社の設立が目的だったので、法人登記非対応のNAWABARIは候補から外れ、DMMとGMOの二択になった。最終的に初期費用0円と転送料込みのGMOを選んだが、もしネットショップ専業で法人登記の予定がなかったらNAWABARIを真っ先に検討していたと思う。「特商法の住所をどうするか」に特化したサービスがあるなら、それを選ぶのが自然だ。
バーチャルオフィス全体の比較はバーチャルオフィス主要10社比較で、ネットショップでの活用法はネットショップ運営にバーチャルオフィスは必須?特商法対策もあわせて参考にしてほしい。
まとめ:ネットショップ特化か総合力か、で選ぶ
NAWABARIとDMMバーチャルオフィスは、得意領域がはっきり分かれている。
- ネットショップの特商法対策 → NAWABARI(BASEパートナー・EC特化・Pマーク取得済み)
- 法人登記する予定がある → DMM(NAWABARIは非対応)
- まず短期間で試したい → NAWABARI(最低契約1ヶ月)
- 会議室や拠点の多さを重視 → DMM(全国14拠点・会議室完備)
- EC以外のビジネスも兼ねている → DMM(汎用性が高い)
迷ったら「自分がバーチャルオフィスを使う一番の理由は何か」を考えてみてほしい。ネットショップの住所問題を解決したいならNAWABARI、事業全体のインフラとして住所が必要ならDMM。目的がはっきりしていれば、選択を間違えることはないはずだ。


