「ネットショップを開きたいけど、自宅の住所をネット上に公開するのは無理」
BASEやShopify、メルカリShopsでショップを作ろうとして、特定商取引法の住所表示義務を知った瞬間、こう思った方は多いはずだ。
結論から言う。バーチャルオフィスの住所を使えば、自宅住所を公開せずに特商法をクリアできる。月額1,000円前後から利用でき、ネットショップ運営者にとっては最もコスパの良い解決策だ。
この記事では、ネットショップ運営者が知っておくべきバーチャルオフィスの活用法を、プラットフォーム別の対応状況やおすすめサービスも含めて解説する。
筆者はGMOオフィスサポートを利用中。合同会社の登記住所として使い、銀行口座やクレジットカードも問題なく開設できている。EC運営者にとってもバーチャルオフィスは有力な選択肢だ。
ネットショップ運営で「住所公開」が避けられない理由
ネットショップを開設する場合、特定商取引法(特商法)によって事業者の住所をサイト上に表示する義務がある。これはBASEだろうがShopifyだろうがメルカリShopsだろうが、どのプラットフォームを使っても同じだ。
特商法で表示が求められる主な項目はこちら。
- 事業者の氏名(法人名)
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 販売価格・送料・返品条件 など
問題は「住所」だ。個人でネットショップを運営している場合、そのまま書けば自宅住所がインターネット上に公開されることになる。
「個人事業主なら住所を省略できる」という情報を見かけることもあるが、これには条件がある。省略する場合でも「請求があれば遅滞なく開示する」という旨の記載が必要で、実際に問い合わせがあれば住所を開示しなければならない。結局のところ、完全に住所を隠すことはできない仕組みだ。
特商法の住所表示ルールについて詳しくは、特定商取引法の住所表示にバーチャルオフィスは使える?で解説している。
自宅住所をネットショップに載せるリスク
「別に自宅住所を載せてもいいか」と思う方もいるかもしれない。しかし、ネットショップの場合は不特定多数の消費者にサイトを見られる。通常のビジネスとは住所公開のリスクが段違いだ。
具体的にどんなリスクがあるのか。
Google検索で自宅住所がヒットする
ネットショップの特商法表記ページはGoogleにもインデックスされる。つまり、自分の名前で検索したら自宅住所が出てくるという状況が起こりえる。一度インデックスされた情報を完全に消すのは非常に難しい。
クレーマーが自宅に来るリスク
ECではクレーム対応が発生する可能性がある。大半のお客さんはまともだが、中には感情的になって直接自宅に押しかけてくるトラブルが起きないとも限らない。特に女性が一人でショップ運営をしている場合、住所の公開はストーカーリスクにも直結する。
副業バレのリスク
副業でネットショップをやっている場合、自宅住所から本業の勤務先を特定される可能性もゼロではない。
こうしたリスクを月額1,000円前後のバーチャルオフィスで回避できるのだから、使わない理由がないというのが筆者の考えだ。住所公開のリスクについてさらに詳しく知りたい方は、自宅住所を公開したくない人のためのバーチャルオフィス活用法も読んでみてほしい。
主要ECプラットフォーム別:バーチャルオフィスの住所は使える?
ここからは、主要なネットショップ作成サービスごとに、バーチャルオフィスの住所が使えるかどうかを整理する。
BASE(ベイス)
BASEには独自の「住所非公開機能」がある。これを使うと、特商法表記ページに個人の住所を表示する代わりに、BASEの住所を掲載することが可能だ。
ただし、この機能は消費者から開示請求があった場合に出品者の住所を開示する仕組みなので、完全に住所を秘匿できるわけではない点に注意が必要だ。
バーチャルオフィスの住所をBASEの特商法表記に使うことも可能だ。むしろ、開示請求があったときにバーチャルオフィスの住所を伝えればよいので、自宅住所を教える必要がなくなる。
Shopify(ショッピファイ)
ShopifyにはBASEのような住所非公開機能はない。特商法表記ページに事業者の住所をそのまま記載する必要がある。
そのため、Shopifyでネットショップを運営するなら、バーチャルオフィスの導入はほぼ必須と言っていいだろう。自宅住所を公開したくないなら、他に選択肢がない。
メルカリShops
メルカリShopsでも特商法に基づく住所表示が必要だ。個人事業主の場合は、購入者から請求があった場合にのみ住所を開示する仕組みになっているが、法人の場合は常時表示が必要だ。
バーチャルオフィスの住所をメルカリShopsの特商法表記に使うことは問題ない。
STORES(ストアーズ)
STORESにも特商法表記の入力欄があり、事業者住所の記載が求められる。BASEのような住所非公開機能は基本的にないため、自宅住所を載せたくない場合はバーチャルオフィスが有力な選択肢になる。
- BASE:住所非公開機能あり。ただし開示請求には応じる必要あり
- Shopify:住所非公開機能なし。バーチャルオフィスがほぼ必須
- メルカリShops:個人は請求時のみ開示。法人は常時表示
- STORES:住所非公開機能なし。バーチャルオフィスが有力
どのプラットフォームでも、バーチャルオフィスの住所を特商法表記に使うこと自体は問題ない。
ネットショップ運営者がバーチャルオフィスを選ぶときのポイント
バーチャルオフィスならどれでもいいわけではない。ネットショップ運営という観点では、特に以下の3つを確認しておくべきだ。
特商法表記での利用が認められているか
大手のバーチャルオフィスなら基本的に問題ないが、サービスによっては利用規約で特商法表記への利用を制限しているケースがある。契約前に必ず確認しよう。
郵便転送の頻度と速度
ECを運営していると、返品対応や契約書のやり取りなど、郵便物を受け取る場面が出てくる。郵便転送が月1回しかないサービスだと、対応が遅れてトラブルになりかねない。最低でも週1回以上の転送頻度があるサービスを選びたいところだ。
事業の拡大に対応できるか
今はネットショップだけでも、将来的に法人化したり、銀行口座を開設したり、他のビジネスにも住所を使いたくなる可能性がある。法人登記にも対応しているバーチャルオフィスを選んでおけば、後から乗り換える手間を省ける。
ネットショップ運営者におすすめのバーチャルオフィス
ネットショップ運営者が検討すべきバーチャルオフィスを2つ紹介する。
NAWABARI:EC運営に特化したバーチャルオフィス
NAWABARI(ナワバリ)は、ネットショップ運営者向けに特化したバーチャルオフィスだ。
最大の特徴は、BASEやSTORESなどのECプラットフォームとの連携実績を持っていること。特商法表記への対応をサービスの売りにしており、EC運営者が抱える「住所を公開したくない」という悩みにダイレクトに応えている。
月額料金も1,100円〜(税込)と手頃で、ネットショップの特商法対策だけが目的なら十分なサービス内容だ。電話転送やGMOあおぞらネット銀行の振込先口座サービスにも対応している。
NAWABARIが向いている人:
- ネットショップの特商法対策が主な目的
- BASEやSTORESを使っている、またはこれから使う予定
- 法人登記までは考えていない
GMOオフィスサポート:法人登記・口座開設まで見据えるなら
一方、ネットショップだけでなく法人登記や銀行口座の開設まで視野に入れているなら、GMOオフィスサポートが向いている。
GMOインターネットグループ(東証プライム上場)が運営しており、信頼性は折り紙付き。月額660円〜の転送なしプランから、筆者が使っている月額2,750円の週1転送プランまで、用途に合わせてプランを選べる。
筆者自身、GMOオフィスサポートの住所でIT系の事業を運営している。合同会社の法人登記、GMOあおぞらネット銀行での口座開設、クレジットカードの発行まで、すべてこの住所で完了した。もちろん特商法の表記にも使える住所なので、ネットショップ運営にも問題なく対応できる。
正直なところ、初期費用0円で郵便転送料が月額に含まれているのは大きかった。他のサービスだと転送1回ごとに実費がかかるケースもあるので、トータルコストで比較するとGMOが安くなることも多い。
GMOオフィスサポートが向いている人:
- 将来的に法人化や銀行口座開設も考えている
- 大手運営の安心感を重視したい
- ネットショップ以外のビジネスにも住所を使いたい
ネットショップの特商法対策だけが目的ならNAWABARI、事業全体の住所として長期的に使いたいならGMOオフィスサポートという使い分けが基本だ。筆者は事業の登記住所としても使いたかったのでGMOを選んだが、EC専業ならNAWABARIのほうがフィットする場合もある。
バーチャルオフィスでネットショップを運営する際の注意点
バーチャルオフィスを使えば特商法の問題は解決するが、いくつか押さえておきたい注意点がある。
返品先住所の設定
ネットショップでは商品の返品対応が発生する。返品先にバーチャルオフィスの住所を指定する場合、郵便転送のタイムラグを考慮する必要がある。
週1転送のプランだと、返品された商品が手元に届くまでに最大1週間以上かかる場合がある。返品対応のスピードを重視するなら、転送頻度の高いプランを選ぶか、返品先だけ自宅にするという方法もある。
受け取れない荷物に注意
バーチャルオフィスでは基本的に通常の郵便物や小さな荷物は受け取れるが、大型の荷物や代引き(着払い)は受け取れないサービスが多い。仕入れ先からのサンプル品など、バーチャルオフィス宛に大きな荷物が届くような運用は避けたほうがいいだろう。
住所検索でバーチャルオフィスだとバレる可能性
バーチャルオフィスの住所は、同じ住所を複数の事業者が使っている。そのため、住所をGoogleで検索されると「バーチャルオフィスの住所だ」と気づかれる可能性はゼロではない。
ただし、これがネットショップの売上に影響するかというと、実際にはほとんど影響しない。消費者が特商法表記ページの住所をいちいちGoogleで検索するケースは稀だし、仮にバーチャルオフィスだとわかっても、商品自体に問題がなければ購入を取りやめる人は少数派だ。
開業前にバーチャルオフィスを契約しておくのがベスト
ネットショップの開業準備をしている段階で、バーチャルオフィスの契約を済ませておくのがおすすめだ。
理由は単純で、特商法表記の住所がないとショップを公開できないからだ。ショップのデザインや商品登録を終えて「さあ公開しよう」というタイミングで住所がなければ、そこで手が止まる。
バーチャルオフィスの申し込みから利用開始までは、早いサービスなら翌日〜数日程度。筆者がGMOオフィスサポートに申し込んだときは、翌日に審査が完了してすぐに利用を開始できた。それでも、余裕を持って事前に契約しておいたほうが安心だ。
サービスの比較検討から始めたい方は、バーチャルオフィスおすすめ8選|料金・機能を徹底比較を参考にしてほしい。費用を抑えたい方には格安バーチャルオフィスおすすめ6選もある。
まとめ
ネットショップ運営において、バーチャルオフィスは「あったら便利」ではなく、自宅住所を公開したくないなら実質的に必須のサービスだ。
- ネットショップの特商法表記にバーチャルオフィスの住所は使える
- Shopify・STORESには住所非公開機能がないため、バーチャルオフィスがほぼ必須
- EC特化ならNAWABARI、法人登記や銀行口座まで見据えるならGMOオフィスサポート
- 開業準備の段階でバーチャルオフィスを契約しておくとスムーズ
月額1,000円前後の投資で自宅住所の公開リスクを回避できるのだから、ネットショップを始めるなら開業前にバーチャルオフィスの契約を済ませておこう。バーチャルオフィスの基本から知りたい方は、バーチャルオフィスとは?仕組み・メリット・デメリットを解説も参考にしてほしい。


