バーチャルオフィスの住所で開業届を出す方法|書き方と注意点を解説

バーチャルオフィスの住所で開業届を出す方法|書き方と注意点を解説
この記事のポイント
  • バーチャルオフィス住所での開業届の書き方を具体的に解説
  • 納税地の選び方(自宅 or VO)の判断基準を整理
  • 住所変更が必要なケース別の対応方法も紹介

バーチャルオフィスの住所で開業届は出せる。 税務署に断られることもない。

ただ、実際に書こうとすると「納税地にはどっちの住所を書けばいいの?」「バーチャルオフィスの住所を納税地にして大丈夫?」と迷うポイントが出てくる。

この記事では、バーチャルオフィスの住所を使って開業届を出すときの具体的な書き方・納税地の選び方・提出後に住所変更が必要になるケースまで、実務で困らないようにまとめた。

運営者 運営者

合同会社としてGMOオフィスサポートの住所で法人登記した。個人事業主の開業届も基本的な考え方は同じだ。手続きの流れを整理した。

開業届の提出から完了までの全体像

まず、バーチャルオフィスの住所で開業届を出すまでの流れを把握しておこう。

1
バーチャルオフィスを契約する
開業届を出す前に、バーチャルオフィスの住所を確保する。審査完了後に正式な住所が通知される。
2
納税地を「自宅」と「VO住所」のどちらにするか決める
これが一番の判断ポイント。それぞれの違いは後述。
3
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を作成する
国税庁のサイトからダウンロードするか、freee開業などの無料サービスで作成。
4
税務署に提出する(窓口・郵送・e-Tax)
提出先は納税地を管轄する税務署。e-Taxならオンラインで完結。

流れ自体はシンプルだ。ポイントはステップ2の「納税地をどっちにするか」で、ここさえ決まれば書類の書き方も自動的に決まる。

開業届の具体的な書き方【バーチャルオフィスの場合】

開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書)には、住所に関する記入欄が2つある。

  • 納税地」の欄
  • 上記以外の住所地・事業所等」の欄

バーチャルオフィスを使う場合、この2つの欄にどう書くかで2パターンの記載方法がある。

パターンA:自宅を納税地にする(おすすめ)

記入欄記載する住所
納税地自宅の住所(「住所地」にチェック)
上記以外の住所地・事業所等バーチャルオフィスの住所(「事業所等」にチェック)

こちらが一般的で、おすすめの書き方だ。

納税地が自宅なので、税務署からの郵便物(確定申告の案内や税務調査の通知など)は自宅に届く。確実に受け取れるため、郵便物の見落としがない。

一方、名刺やWebサイト、請求書にはバーチャルオフィスの住所を使える。「事業上の住所はVO、税金関係は自宅」という使い分けができるのがこのパターンのメリットだ。

パターンB:バーチャルオフィスを納税地にする

記入欄記載する住所
納税地バーチャルオフィスの住所(「事業所等」にチェック)
上記以外の住所地・事業所等自宅の住所

自宅住所を一切表に出したくない場合は、バーチャルオフィスの住所を納税地にすることも可能だ。

ただしこの場合、税務署からの郵便物がバーチャルオフィスに届くことになる。バーチャルオフィスの郵便転送は即日届くわけではないので、重要な通知の受け取りが遅れるリスクがある。

パターンBで注意すべきこと

バーチャルオフィスを納税地にすると、確定申告書の提出先もVO住所の管轄税務署になる。自宅とバーチャルオフィスが別の管轄区域にある場合、確定申告の手続きや問い合わせ先が自宅近くの税務署ではなくなる点に注意してほしい。

結局どっちがいいのか

正直なところ、パターンA(自宅を納税地)をおすすめする。理由はシンプルで、税務署からの郵便物を確実に受け取れるからだ。

開業届に「上記以外の住所地・事業所等」としてバーチャルオフィスの住所を書いておけば、事業の住所としてVO住所を公に使うことに何の問題もない。名刺にもWebサイトにもVO住所を載せられる。

わざわざ納税地をVOにするメリットは「自宅住所が税務署の管理上にも残らない」という点くらいだが、そもそも開業届に自宅住所を書かないわけにはいかないので、プライバシー保護の効果は限定的だ。

💡

迷ったら**パターンA(自宅を納税地)**を選んでおけば間違いない。事業上の住所にはVO住所を使えるので、プライバシー面でも問題ない。

開業届の提出方法と提出先

開業届の書き方が決まったら、あとは税務署に提出するだけだ。

提出先

納税地を管轄する税務署に提出する。

  • パターンA(自宅が納税地)→ 自宅住所の管轄税務署
  • パターンB(VOが納税地)→ バーチャルオフィス住所の管轄税務署

管轄税務署は国税庁のサイトで調べられる。

3つの提出方法

開業届の提出方法は3つある。

税務署の窓口に直接提出する

不明点をその場で質問できるので初めてでも安心だ。ただし平日の開庁時間(8:30〜17:00)しか受け付けていない。

郵送で提出する

窓口に行く時間がない方向け。開業届のコピーと返信用封筒を同封すれば、控えに受付印を押して返送してもらえる。控えは銀行口座の開設時などに必要になることがあるので、必ず控えをもらおう

e-Tax(オンライン)で提出する

マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマホ)があれば自宅から完結する。e-Taxなら提出記録がデータとして残るので、控えの管理も楽だ。

freee開業を使うと楽

開業届の作成は、freee開業(無料)を使うと簡単だ。質問に答えていくだけで開業届が自動作成され、そのままe-Taxで提出することもできる。記入欄の書き方がよくわからない方は、手書きより効率的だ。

提出期限

開業届の提出期限は事業開始から1ヶ月以内だ。ただし、期限を過ぎても罰則はない。とはいえ、青色申告の届出と一緒に出すなら、なるべく早く提出しておくのが無難だ。

青色申告承認申請書の提出期限は開業日から2ヶ月以内。開業届と同時に出せば提出忘れを防げる。

開業届と一緒に出しておくべき書類

開業届を出すタイミングで、以下の書類もまとめて提出しておくと後が楽だ。

青色申告承認申請書

個人事業主として節税するなら青色申告は必須だ。最大65万円の控除が受けられるので、開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を出しておこう。

提出期限は開業日から2ヶ月以内(1月1日〜1月15日に開業した場合はその年の3月15日まで)。開業届と同時に出すのが一番忘れにくい。

納税地の届出書(パターンBの場合のみ)

自宅以外の住所を納税地にする場合(パターンB)は、「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」の提出が必要だ。

パターンA(自宅が納税地)であればこの届出書は不要だ。もう一つ、パターンAをおすすめする理由がここにある。手続きが1つ減るので楽なのだ。

バーチャルオフィスの住所で開業届を出す際の注意点

手続き自体はシンプルだが、事前に知っておくべきことがいくつかある。

バーチャルオフィスの契約が先

当たり前のことだが、開業届を出す前にバーチャルオフィスの契約を完了させておく必要がある。まだ正式に使えない住所を開業届に書くのはNG。

審査完了前の住所を開業届に記載しないこと。契約完了メールや利用開始通知を確認してから記入しよう。

バーチャルオフィスの審査は早いところで翌日には完了する。僕がGMOオフィスサポートに申し込んだときも、翌日に審査完了。追加書類の要求もなくスムーズだった。

個人事業主向けのバーチャルオフィス選びについては個人事業主におすすめのバーチャルオフィスの記事で詳しくまとめている。

税務署から「バーチャルオフィスだからダメ」と言われることはない

ネット上で「バーチャルオフィスの住所で開業届を出したら受理されなかった」という情報を見かけることがあるが、基本的にそういったことは起きない

開業届は届出書であって許可申請ではないので、税務署側に「受理しない」という権限が実質的にない。バーチャルオフィスの住所であっても、記入内容に不備がなければ問題なく受理される。

確定申告への影響

納税地の住所は、そのまま確定申告の提出先税務署に紐づく。

パターンA(自宅が納税地)なら自宅の管轄税務署、パターンB(VOが納税地)ならVOの管轄税務署に確定申告を行う。どちらの場合もe-Taxを使えばオンラインで完結するので、実務上の手間はそこまで変わらない。

ただし税務調査が入る場合、管轄の税務署から連絡が来る。自宅近くの税務署の方が何かと対応しやすいので、この点でもパターンAが無難だ。

バーチャルオフィスは経費にできる

バーチャルオフィスの月額料金は「地代家賃」または「支払手数料」として経費計上できる。

月額660円〜2,750円程度であっても、年間にすれば約8,000円〜33,000円。きちんと経費にしておこう。

開業届の住所を後から変更する場合

「既に自宅住所で開業届を出しているけど、バーチャルオフィスに変更したい」というケースもあると思う。これも対応可能だ。

ケース1:納税地はそのまま、事業所としてVOを追加したい

この場合、特別な届出は不要だ。次の確定申告書に事業所としてバーチャルオフィスの住所を記載すればOK。名刺やWebサイトにVO住所を使い始めるのに、税務署への届出は必要ない。

ケース2:納税地をバーチャルオフィスに変更したい

所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を、現在の管轄税務署に提出する。届出後は、新しい納税地(VO住所)の管轄税務署が確定申告の提出先になる。

ケース3:バーチャルオフィスを解約・変更する場合

バーチャルオフィスを乗り換えたり解約した場合は、納税地の変更届出が必要になることがある。

  • VOを納税地にしていた場合 → 新しい住所(自宅や別のVO)への変更届出が必要
  • 自宅が納税地で、VOは事業所として併記していただけの場合 → 特に届出不要。次の確定申告で事業所の記載を更新すればOK

VOを納税地にしている場合、解約前に必ず納税地の変更届出を済ませよう。届出を忘れると税務署からの通知が届かなくなるリスクがある。

ここでも、自宅を納税地にしておく方が後の手続きが楽だということがわかる。バーチャルオフィスを変更しても納税地が変わらないので、税務署への届出が不要だ。

開業届を出した後にやっておくべきこと

開業届の提出が完了したら、次のステップに進もう。

事業用の銀行口座を開設する

個人事業主として事業を始めたら、プライベートと事業のお金を分けるために事業用の銀行口座を開設しておくのがおすすめだ。

屋号付き口座はゆうちょ銀行やネット銀行で開設可能。バーチャルオフィスの住所で口座開設できるかどうかはバーチャルオフィスで銀行口座は開設できる?の記事で詳しく解説している。

名刺・Webサイトにバーチャルオフィスの住所を記載する

開業届を出したら、名刺やWebサイトにバーチャルオフィスの住所を事業住所として記載できる。自宅住所を公開せずに事業ができるのは、バーチャルオフィスの一番大きなメリットだ。

ネットショップを運営する場合は特商法表記の住所にバーチャルオフィスの住所を使うことも可能だ。

将来の法人化を見据える

個人事業主として実績を積んだ後に法人化(法人成り)する方も多い。その際、同じバーチャルオフィスの住所で法人登記ができれば住所変更の手間がかからない。

僕自身、GMOオフィスサポートの住所で合同会社として法人登記している。法人登記の手順やポイントについてはバーチャルオフィスで法人登記する方法で詳しくまとめている。

まとめ

バーチャルオフィスの住所で開業届を出すのは、まったく問題ない。手続き自体も難しくなく、ポイントは納税地をどちらにするかの一点に集約される。

おすすめは自宅を納税地にして、バーチャルオフィスの住所を「事業所等」として併記するパターンだ。この書き方なら、税務署からの郵便物は自宅に届くので安心だし、バーチャルオフィスを後から変更しても納税地の届出は不要。事業上の住所にはVO住所を使えるので、自宅のプライバシーも守れる。

開業届を出す流れをまとめると、以下の通りだ。

  1. バーチャルオフィスを契約する
  2. 開業届の「納税地」に自宅住所を記載
  3. 「上記以外の住所地・事業所等」にVO住所を記載
  4. 青色申告承認申請書とあわせて税務署に提出

バーチャルオフィスの契約自体は早ければ翌日に審査が完了するので、開業届の提出までスムーズに進められる。

個人事業主向けのバーチャルオフィス選びは個人事業主におすすめのバーチャルオフィス、バーチャルオフィスの合法性が気になる方はバーチャルオフィスは違法?もあわせて読んでみてほしい。

よくある質問

Q.バーチャルオフィスの住所で開業届は出せますか?
A.

問題なく出せる。開業届の「納税地」にバーチャルオフィスの住所を記載するか、自宅住所を納税地にして「上記以外の住所地・事業所等」の欄にVO住所を記載する方法がある。

Q.納税地はバーチャルオフィスと自宅、どっちにすべき?
A.

自宅を納税地にするのが一般的だ。税務署からの郵便物が届くため、確実に受け取れる住所にしよう。事業所としてVO住所を併記すれば、名刺やWebサイトにはVO住所を使える。

Q.既に自宅で開業届を出していて、後からVOに変更できる?
A.

可能だ。「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を税務署に提出するか、確定申告時に新しい住所を記載する方法がある。

#バーチャルオフィス#開業届#個人事業主#納税地#手続き

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