「バーチャルオフィスの住所に住民票って移せるの?」
バーチャルオフィスを検討していると、こんな疑問が浮かぶかもしれない。都心の一等地の住所が使えるなら、住民票もそこに移せたらいろいろ便利そうだ、と考えるのは自然なことだよね。
結論から言うと、バーチャルオフィスの住所に住民票を移すことはできない。
理由はシンプルで、バーチャルオフィスはあくまで「事業用の住所」を提供するサービスであり、そこに住んでいるわけではないからだ。住民票は居住実態のある場所に置くものなので、住めない場所には移せない。
僕はGMOオフィスサポートを使って合同会社を運営しているが、住民票の移動が必要になった場面は一度もない。事業用住所として使う分には、住民票を移す必要がそもそもないからだ。
この記事では、住民票が移せない法的な根拠と、バーチャルオフィスの住所で「できること」「できないこと」を整理して、住所の利用範囲を正しく理解してもらえるようにまとめた。
GMOオフィスサポートを約半年使っている。住民票の話は契約前に気になるポイントだけど、実際に使ってみると「そもそも移す必要がない」ことがわかる。
バーチャルオフィスに住民票が移せない理由
住民票を移せない理由は、住民基本台帳法にある。
住民基本台帳法では、住民票は「実際に住んでいる場所(住所地)」に基づいて登録するものと定められている。ここで言う「住所」とは、生活の本拠、つまり日常的に寝泊まりして生活している場所のことだ。
バーチャルオフィスには物理的な居住スペースがない。そもそも住む場所ではないので、「生活の本拠」にはなり得ない。したがって、住民票の異動先としてバーチャルオフィスの住所を届け出ることは法律上認められていない。
虚偽届出のリスク
仮に虚偽の届出をした場合、住民基本台帳法に基づいて5万円以下の過料が科される可能性がある。わざわざリスクを冒してまで移す意味はまったくない。
居住実態のない住所への住民票の異動は法律違反になる。バーチャルオフィスの住所に住民票を移すことは絶対に避けよう。
レンタルオフィスやシェアハウスとの違い
混同しやすいのだが、レンタルオフィスやシェアハウスとは事情が異なる。
レンタルオフィスには実際に使える物理的な個室スペースがあるが、それでも「居住用」ではないため住民票は原則移せない。一方、シェアハウスは居住施設なので住民票を移すことができる。
ポイントは**「そこに住んでいるかどうか」**という一点だ。バーチャルオフィスもレンタルオフィスも事業用のサービスであり、住むための施設ではないので住民票の対象外になる。
バーチャルオフィスの住所で「できること」
住民票は移せないが、バーチャルオフィスの住所でできることはかなり多い。事業を運営するうえで必要な住所関連の手続きは、ほぼカバーできると思っていい。
法人登記
バーチャルオフィスの住所で法人登記は問題なくできる。合同会社でも株式会社でも、本店所在地としてバーチャルオフィスの住所を使える。
僕もGMOオフィスサポートの東京都内の住所で合同会社の登記をしている。登記申請時にバーチャルオフィスだからといって却下されるようなことはなかった。
法人登記についてもっと知りたい方は、バーチャルオフィスで法人登記する方法と注意点を参考にしてほしい。
開業届・税務関連の届出
個人事業主の開業届もバーチャルオフィスの住所で提出できる。「納税地」としてバーチャルオフィスの住所を記載し、税務署に届け出ることが可能だ。
ただし、個人事業主の場合は自宅住所を納税地にして、バーチャルオフィスを「事業所の所在地」として併記するパターンのほうが一般的だ。どちらにするかは税理士に相談するのが確実。
個人事業主の開業届では、納税地を自宅にしつつ「事業所の所在地」欄にバーチャルオフィスの住所を記載する方法が一般的。迷ったら税理士に相談しよう。
銀行口座の開設
法人の銀行口座開設にもバーチャルオフィスの住所は使える。実際に、僕はGMOオフィスサポートの住所でGMOあおぞらネット銀行の法人口座を約1週間で開設できた。追加書類の要求もなくスムーズだった。
その後、三井住友カード ビジネスオーナーズやFreeeカードといった法人カードも問題なく発行できている。
銀行口座開設の詳細はバーチャルオフィスで銀行口座は開設できる?にまとめてある。
名刺・Webサイトへの住所記載
名刺やWebサイト、パンフレットにバーチャルオフィスの住所を記載するのはまったく問題ない。というか、これがバーチャルオフィスの基本的な使い方だ。
自宅住所を名刺に刷りたくない、Webサイトに自宅を公開したくないという人にとって、ここが一番大きなメリットだと思う。
特定商取引法に基づく表記
ECサイトやネットショップを運営する場合、特定商取引法に基づいて事業者の住所を表示する義務がある。この住所にバーチャルオフィスの住所を使うことは合法的に認められている。
自宅でネットショップを運営している人が、特商法の表示で自宅住所を公開したくないからバーチャルオフィスを使う、というケースは非常に多い。
バーチャルオフィスの住所で「できないこと」
一方で、バーチャルオフィスの住所では対応できないこともある。ここを理解しておかないと、「契約したのに使えなかった」となりかねないので、事前に確認しておこう。
住民票の異動
冒頭で説明した通り、住民票の異動はできない。これは法律上の制約なので、どのバーチャルオフィスを選んでも同じだ。
免許証・マイナンバーカードの住所変更
運転免許証やマイナンバーカードの住所は住民票に基づいているため、バーチャルオフィスの住所には変更できない。これらの公的書類に記載される住所は、あくまで住民票の住所(=自宅の住所)になる。
居住用の各種届出
健康保険・年金の住所、選挙の投票所、公立学校の学区など、居住地に紐づく行政サービスは当然ながらバーチャルオフィスの住所では登録できない。これらはすべて住民票の住所に基づいて決まるものだ。
一部の許認可申請
人材派遣業、古物商、宅地建物取引業など、物理的な事務所スペースが要件に含まれる許認可ではバーチャルオフィスの住所は使えない。事業で許認可が必要な場合は、契約前に管轄の行政機関に確認しよう。
許認可が必要な事業を始める場合は、バーチャルオフィスの契約前に必ず管轄の行政機関へ確認を。契約後に「使えなかった」となると費用が無駄になる。
許認可と合法性の話は、バーチャルオフィスは違法?合法的に使うための注意点で詳しく解説している。
「住所」が2つあっても問題はないのか
バーチャルオフィスを使うと、事実上「自宅の住所」と「事業用の住所」の2つを持つことになる。これに対して「住所が2つあるのは何か問題になるのでは?」と心配する人もいるが、まったく問題ない。
個人の住所(住民票の住所)と事業の住所が異なるのは、ごく普通のことだ。たとえば自宅と別の場所にオフィスを借りて事業をしている人は、個人の住所と事業の住所が異なる。バーチャルオフィスもこれと同じ構造だ。
法人の場合
法人の場合は、法人の本店所在地(バーチャルオフィスの住所)と代表者の自宅住所はそもそも別のものとして扱われる。登記簿には代表者の住所も記載されるが、それは自宅住所で問題ない。
- 自宅住所 → 住民票、免許証、マイナンバーカード、健康保険、年金など個人の行政手続き
- バーチャルオフィスの住所 → 法人登記、開業届、名刺、Webサイト、銀行口座、特商法表示など事業の手続き
僕自身もこの使い分けで約半年運営してきたが、混乱することは一度もなかった。事業に関するものはバーチャルオフィスの住所、個人のものは自宅住所。この区別さえ意識しておけば困ることはない。
住民票が移せなくても困らない理由
ここまで読んで「住民票が移せないとなると、バーチャルオフィスは使いづらいのでは?」と感じた人もいるかもしれない。
でも正直なところ、住民票を移せないことで困る場面はまずない。
そもそもバーチャルオフィスの目的は「事業用の住所を手に入れること」であって、「住む場所を変えること」ではない。事業で必要な住所関連の手続き——法人登記、開業届、銀行口座開設、名刺やWebサイトへの記載——はすべてバーチャルオフィスの住所で対応できる。
住民票の移動が必要なのは「引っ越したとき」だ。バーチャルオフィスの契約は引っ越しではないので、住民票の移動は最初から不要なんだよね。
僕もGMOオフィスサポートを契約したとき、住民票のことはまったく考えなかった。事業用の住所が欲しかっただけなので、住民票が移せなくても何も困らない。
バーチャルオフィスの住所利用で注意すべきこと
住民票の話とは少しずれるが、バーチャルオフィスの住所を使ううえで知っておいたほうがいいポイントもまとめておく。
住所検索でバーチャルオフィスだと判明する可能性
バーチャルオフィスの住所は複数の企業が共有しているため、取引先にGoogle検索されるとバーチャルオフィスだと推測される可能性がある。ただし、これが実際に問題になるケースは非常に少ない。リモートワークが普及した今、固定オフィスを持たない会社は珍しくない。
郵便物は転送に時間がかかる
バーチャルオフィスに届いた郵便物は、転送されて手元に届くまでに数日〜1週間かかる。重要な書類が届くタイミングでは意識しておく必要がある。
法人設立直後や銀行口座開設時は重要書類が届きやすい。転送頻度の高いプランを選ぶか、届くタイミングを事前に把握しておくと安心だ。
これらのポイントについてもっと詳しく知りたい方は、バーチャルオフィスのデメリットを正直に解説にまとめている。
できること
- 法人登記(合同会社・株式会社)
- 開業届の提出
- 法人銀行口座の開設
- 名刺・Webサイトへの住所記載
- 特定商取引法に基づく表記
- 法人クレジットカードの申し込み
できないこと
- 住民票の異動
- 免許証・マイナンバーカードの住所変更
- 居住地に紐づく行政手続き(健康保険・年金・選挙等)
- 一部の許認可申請(人材派遣業・古物商等)
まとめ
バーチャルオフィスの住所に住民票を移すことはできない。住民基本台帳法により、住民票は実際に住んでいる場所に置くものと定められており、居住施設ではないバーチャルオフィスは対象外だ。
ただし、住民票が移せないからといって困ることはほぼない。バーチャルオフィスはあくまで「事業用の住所」を提供するサービスであり、法人登記・開業届・銀行口座開設・名刺やWebサイトへの記載など、事業に必要な住所利用は問題なくカバーできる。
大事なのは、バーチャルオフィスの住所が使える範囲と使えない範囲を正しく理解しておくこと。「事業用の住所」と「個人の住所」を分けて考えれば、バーチャルオフィスは非常にコスパの良いサービスだ。
バーチャルオフィス選びで迷っている方は、バーチャルオフィスおすすめ比較も参考にしてほしい。


