バーチャルオフィス利用者の確定申告ガイド|納税地・経費計上・書き方を解説

バーチャルオフィス利用者の確定申告ガイド|納税地・経費計上・書き方を解説
この記事のポイント
  • 納税地は自宅とVO住所のどちらも選べる(判断基準を解説)
  • バーチャルオフィスの費用は全額経費計上OK(仕訳例つき)
  • 確定申告書の具体的な書き方をパターン別に紹介

バーチャルオフィスを使っていて、確定申告の時期になると地味に困るのが「住所周りの扱い」だ。

「確定申告書にはバーチャルオフィスと自宅、どっちの住所を書けばいいの?」「納税地ってどうやって決めるの?」「そもそもVOの費用は経費にしていいの?」

結論から言うと、バーチャルオフィスの利用者が確定申告で一番大事なのは「納税地をどこにしているか」の確認だ。 納税地さえ把握していれば、確定申告書の書き方も提出先も自動的に決まる。経費計上も全額OKだ。

この記事では、バーチャルオフィス利用者が確定申告で押さえるべきポイントを、納税地の選び方から経費処理、確定申告書の具体的な書き方、税務調査への備えまでまとめた。

運営者 運営者

IT系の事業を2名で運営している合同会社の代表。GMOオフィスサポートの住所で法人登記し、約6ヶ月利用中。確定申告・経費処理も自分で対応している。

バーチャルオフィス利用者の確定申告で押さえるべきポイント

バーチャルオフィスを使っていても、確定申告の基本的な流れは通常と変わらない。1年間の収入と経費を集計して、所得を計算して、申告書を作って提出するだけだ。

ただし、バーチャルオフィス特有の論点が3つある。

1つ目は「納税地」の問題。 確定申告書に記載する住所と、申告書の提出先税務署は納税地によって決まる。バーチャルオフィスの住所と自宅、どちらを納税地にしているかで書き方が変わるため、ここが最重要ポイントだ。

2つ目は「経費計上」の問題。 バーチャルオフィスの月額料金を正しい勘定科目で経費にすること。これは一度決めてしまえば毎月同じ処理を繰り返すだけなので難しくない。

3つ目は「税務調査」への備え。 バーチャルオフィスは物理的なオフィスがないため、税務調査の際にどう対応するかを事前に考えておく必要がある。

この3つを順番に解説していく。

納税地はバーチャルオフィスと自宅どちらにすべきか

確定申告で最初にぶつかるのが「納税地」の問題だ。個人事業主と法人で扱いが異なるので、それぞれ整理しておこう。

個人事業主の場合:自宅 or VO住所を選べる

個人事業主の納税地は、原則として**住所地(自宅)**だ。ただし、事業所がある場合はその住所を納税地にすることもできる。つまり、バーチャルオフィスの住所を事業所として届け出ていれば、VO住所を納税地にすることが可能だ。

どちらにすべきか迷ったら、以下の比較を参考にしてほしい。

項目自宅を納税地にするVO住所を納税地にする
税務署からの郵便物自宅に届く(確実に受け取れる)VOに届く(転送待ちが発生)
管轄税務署自宅近くの税務署VO住所の管轄税務署
VO変更・解約時の手続き届出不要納税地変更届が必要
住所のプライバシー事業所欄にVO住所を併記すれば対応可能自宅住所が税務上も表に出にくい
手続きの手間少ないやや多い

おすすめは「自宅を納税地にする」パターンだ。

💡

個人事業主は自宅を納税地にしておくのが安全。税務署からの郵便物を確実に受け取れて、VO変更・解約時に納税地変更届を出す手間もなくなる。

理由はシンプルで、税務署からの郵便物を確実に受け取れることと、バーチャルオフィスを変更・解約しても納税地の届出が不要であることが大きい。確定申告の案内や還付金の通知、場合によっては税務調査の事前通知など、見逃してはいけない郵便物は意外と多い。

開業届の段階で「上記以外の住所地・事業所等」の欄にバーチャルオフィスの住所を書いておけば、名刺やWebサイトにはVO住所を使えるので、プライバシーの問題もクリアできる。

開業届の書き方についてはバーチャルオフィスの住所で開業届を出す方法で詳しくまとめている。

法人の場合:本店所在地=納税地

法人の場合は個人事業主と違い、本店所在地が自動的に納税地になる。選択の余地はない。

バーチャルオフィスの住所で法人登記している場合は、VO住所が本店所在地=納税地だ。僕の場合もGMOオフィスサポートの住所で合同会社を登記しているので、VO住所が納税地になっている。

法人の場合は税務署からの郵便物も本店所在地に届くことになるが、法人税の申告はe-Taxで行うのが主流なので、実務上は大きな問題にはならない。郵便転送でカバーできる範囲だ。

バーチャルオフィス費用の経費計上方法

全額経費にできる

バーチャルオフィスの費用は全額経費になる。 個人事業主でも法人でも同じだ。

「物理的なオフィスを借りていないのに経費にしていいの?」と不安に思うかもしれないが、心配は不要だ。バーチャルオフィスは事業用の住所利用サービスであり、事業に必要な支出として全額計上できる。自宅の家賃のように按分する必要もない。

勘定科目は「支払手数料」がおすすめ

バーチャルオフィスの月額料金の勘定科目は、「支払手数料」または「賃借料」のどちらかを使うのが一般的だ。

僕は「支払手数料」を使っている。バーチャルオフィスは物理的なスペースを借りているわけではなく、住所利用というサービスへの対価だと考えると、支払手数料のほうがしっくりくるからだ。

どちらを選んでも税務上の問題はないが、一度決めた勘定科目はずっと同じものを使い続けるのが大事だ(継続性の原則)。

勘定科目を年度ごとに変更すると、税務調査で指摘を受ける可能性がある。「支払手数料」か「賃借料」のどちらかに決めたら、以降はずっと統一すること。

なお、「地代家賃」を使うこともできるが、物理的なスペースを借りていないバーチャルオフィスの性質とは合わないので、避けたほうが無難だ。

仕訳例

具体的な仕訳を見てみよう。GMOオフィスサポートの週1転送プラン(月額2,750円・税込)を例にする。

月払い・クレジットカード決済の場合

借方金額貸方金額
支払手数料2,500円未払金2,750円
仮払消費税250円

カードの引き落とし時に、以下の仕訳を切る。

借方金額貸方金額
未払金2,750円普通預金2,750円

年払いの場合(僕のケース)

借方金額貸方金額
支払手数料33,000円未払金33,000円

年に1回の仕訳で済むので処理が楽だ。年間33,000円程度の金額であれば、支払い時に一括で経費計上しても実務上は問題ない。

勘定科目の選び方や、初期費用・郵便転送料・会議室利用料などの項目別の処理方法については、バーチャルオフィスの勘定科目と仕訳方法で詳しく解説している。

確定申告書の書き方(個人事業主の場合)

確定申告書にバーチャルオフィス関連で記載する箇所は、主に住所欄経費の内訳だ。

住所欄の記載方法

確定申告書の第一表には「住所」の記入欄がある。ここには納税地として届け出ている住所を記載する。

つまり、こういうことだ。

開業届のパターン確定申告書の住所欄に書く住所提出先税務署
自宅を納税地にした場合自宅の住所自宅の管轄税務署
VO住所を納税地にした場合バーチャルオフィスの住所VO住所の管轄税務署

開業届で自宅を納税地にしている人が大半だと思うので、その場合は単純に自宅住所を書けばいい。確定申告書に「バーチャルオフィス利用者です」と特別に記載する欄はないし、そう申告する必要もない。

経費の記載方法

バーチャルオフィスの費用は、青色申告決算書(または収支内訳書)の経費欄に金額を記載する。

科目ごとに金額を集計して記入するだけなので、普通の経費と何ら変わらない。例えば「支払手数料」で処理しているなら、1年間のバーチャルオフィス費用の合計額を支払手数料の欄に含めればOKだ。

e-Taxでの申告がおすすめ

確定申告はe-Taxで電子申告するのがおすすめだ。理由は3つある。

自宅から完結する。 バーチャルオフィスの管轄税務署が遠くても関係ない。

65万円の青色申告特別控除を受けられる。 電子申告は65万円控除の要件の一つだ。紙で提出すると控除額が55万円に下がる。

青色申告の65万円控除を受けるには、e-Taxでの電子申告が必須要件。紙で提出すると控除額が55万円に下がり、10万円分の差が出る。

提出記録がデータで残る。 控えの管理が楽だし、過去の申告内容も確認しやすい。

マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)があれば電子申告できるので、まだ紙で提出している人はこの機会にe-Taxに切り替えることをおすすめする。

確定申告書を作成する前の確認事項
  • 開業届で届け出た納税地がどこかを確認する
  • バーチャルオフィスの年間支払額を集計する(領収書・カード明細)
  • 使っている勘定科目を帳簿で確認する(支払手数料 or 賃借料)
  • 会計ソフトを使っているなら、VO費用が正しく仕訳されているか確認

税務調査への備え

バーチャルオフィスを使っているからといって税務調査に入られやすいということはないが、調査が入った場合の対応は事前に考えておいたほうがいい。

税務調査はどこで行われるか

税務調査は通常、事業所で行われる。バーチャルオフィスを事業所にしている場合、物理的なオフィスがないので「どこでやるの?」という疑問が出てくる。

実際には、以下のような場所で対応することになる。

会議室を利用する方法

バーチャルオフィスに会議室が併設されている場合は、そこを利用するのが自然だ。GMOオフィスサポートは渋谷・三軒茶屋など一部拠点に会議室があるほか、レゾナンスなど全拠点に会議室を備えているサービスもある。

自宅で対応する方法

自宅を納税地にしている場合は、自宅で調査を受けることもある。実際のところ、個人事業主で自宅兼事務所のケースでは自宅に調査官が来るのは珍しくない。

税務署で行う方法

調査官に相談して、税務署内で対応するケースもある。帳簿や書類を持参すればOKだ。

書類の保管場所は自宅でOK

帳簿書類の保管義務は事業者にあるが、保管場所がバーチャルオフィスである必要はない。自宅に帳簿、領収書、請求書などを保管しておけば問題ない。

💡

帳簿・領収書の保管場所はバーチャルオフィスでなくてOK。自宅保管で問題ない。電子帳簿保存法に対応していればクラウド上の保管でも可。

電子帳簿保存法に対応していれば、紙の書類を大量に保管する必要もない。クラウド会計ソフトを使っていれば、データとして保存されているので管理も楽だ。

用意しておくべき書類

税務調査に備えて、以下の書類を整理しておこう。

バーチャルオフィスの契約書

事業用として契約していることの証拠になる。

月額料金の領収書・支払い明細

クレジットカードの利用明細でも代替可能だ。

帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)

会計ソフトから出力できる状態にしておけばいい。

事業実態を示す資料

取引先との契約書、請求書、メールのやり取りなど。バーチャルオフィスは「住所だけ」のサービスなので、事業の実態があることを示せる資料があると安心だ。

事業実態のない住所利用は絶対にNG

言うまでもないが、事業の実態がないのにバーチャルオフィスの住所を使って架空の経費を計上するのは脱税だ。バーチャルオフィスは合法的なサービスだが、適正な事業活動に使っていることが大前提。この記事の読者には関係ない話だと思うが、念のため。

まとめ

バーチャルオフィスを使っていても、確定申告のやり方は基本的に通常と同じだ。バーチャルオフィス特有のポイントは「納税地」「経費計上」「税務調査」の3つだけで、一度理解してしまえば毎年同じ対応で済む。

この記事のポイント
  • 納税地は自宅にしておくのがおすすめ。税務署からの郵便物を確実に受け取れて、VO変更時の届出も不要
  • 経費計上はバーチャルオフィス費用を全額OK。勘定科目は「支払手数料」か「賃借料」で統一
  • 確定申告書には納税地として届け出た住所を記載。特別な対応は不要
  • 税務調査には会議室や自宅で対応可能。帳簿・契約書を整理しておけば問題なし

僕はGMOオフィスサポートの住所で法人登記して事業を運営しているが、経費処理は年払いの「支払手数料」1本で完結している。初期費用0円で郵便転送料も月額に含まれているから、仕訳は年1回だけ。確定申告で特別に困ったことはない。

バーチャルオフィスの費用は年間でも数万円程度だが、きちんと経費にしておくのとしないのとでは積み重ねで差が出る。この記事を参考に、正しく経費計上して確定申告を乗り切ってほしい。

勘定科目や仕訳のより詳しい解説はバーチャルオフィスの勘定科目と仕訳方法、自宅住所を公開したくない方は自宅住所を公開せずに事業を運営する方法もあわせて読んでみてほしい。

よくある質問

Q.バーチャルオフィスの住所を納税地にできる?
A.

できる。個人事業主は開業届の納税地にバーチャルオフィスの住所を記載可能。法人は本店所在地として登記した住所が納税地になる。

Q.バーチャルオフィスの費用は経費になる?
A.

全額経費になる。勘定科目は「支払手数料」または「地代家賃」が一般的。

Q.確定申告書にはバーチャルオフィスと自宅どちらの住所を書く?
A.

納税地として届け出た住所を記載する。バーチャルオフィスを納税地にしていればバーチャルオフィスの住所、自宅を納税地にしていれば自宅住所を書く。

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