バーチャルオフィスを引っ越し(住所変更)するときの手続きと注意点

バーチャルオフィスを引っ越し(住所変更)するときの手続きと注意点

バーチャルオフィスの引っ越し(住所変更)は、想像以上に手間とコストがかかる。 法人登記をしている場合、本店移転登記だけで3〜6万円。さらに銀行や税務署への届出、名刺やWebサイトの修正まで含めると、数万円+数日分の作業が発生する。

僕自身はGMOオフィスサポートを利用中で、今のところ引っ越しの予定はない。ただ、契約前に「もし乗り換えることになったらどうなるか」は調べていた。この記事では、そのときに整理した情報をまとめる。

バーチャルオフィスの乗り換えを検討している方、あるいは最初の段階で引っ越しリスクを潰しておきたい方は、ぜひ参考にしてほしい。

運営者 運営者

GMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立し、銀行口座・クレカも開設済み。引っ越し経験はないが、契約前にリスクを洗い出した内容を共有する。

バーチャルオフィスの引っ越しが必要になるケース

まず、どんなときにバーチャルオフィスの引っ越し(乗り換え)が必要になるのか整理しておこう。

料金の値上げ・プラン改悪

バーチャルオフィスも一般的なサービスと同様、料金改定やプラン変更が起こりうる。月額数百円の値上げでも、年間にすれば数千円のインパクトがある。もともと安さで選んでいた場合、他社の方が安くなるケースも出てくる。

サービス品質への不満

使い始めてから不満が出てくることは珍しくない。たとえば以下のようなケースだ。

  • 郵便物の転送が遅い・紛失がある
  • サポートの対応が悪い
  • 管理画面が使いにくい
  • オプション料金が想定以上にかさむ

僕の場合、GMOオフィスサポートで地味に不便だと感じているのが、郵便物の写真閲覧に月額+1,100円かかること。何が届いたか確認するだけで追加料金がかかるのは正直微妙だ。ただ、これだけで乗り換えるかというと、移転コストを考えるとそこまでではない。

サービスの終了・運営会社の撤退

小規模なバーチャルオフィス事業者の場合、事業撤退やサービス終了のリスクがゼロではない。この場合は否応なく引っ越しが必要になる。

事業拠点の変更

「東京の住所で登記していたが、大阪に拠点を移したい」といったケース。バーチャルオフィスは物理的に通う必要がないので頻度は低いが、郵便物の受取や来客対応を考えると、事業実態に近い住所に変更したいというニーズはある。

必要な機能の変化

事業の成長に伴って、電話転送・会議室・受付サービスなどが必要になった場合、現在のサービスでは対応できないことがある。オプション追加で対応できるなら良いが、そもそも提供していない機能なら乗り換えるしかない。

バーチャルオフィスを引っ越しするときの手続き一覧

ここが本題だ。法人登記をしている場合にバーチャルオフィスを引っ越しすると、以下の手続きが必要になる。

1. 新しいバーチャルオフィスの契約

当然だが、まず新しい住所を確保する必要がある。旧オフィスの解約前に新オフィスの契約・審査を完了させておくのが鉄則だ。空白期間ができると郵便物が届かなくなる。

解約と契約のタイミングに注意

バーチャルオフィスの解約には「解約予告期間」が設定されていることが多い(1〜3ヶ月前が一般的)。新しい契約先の審査が通ってから、旧サービスの解約手続きを進めよう。郵便物の転送先切り替え期間も考慮して、最低1ヶ月は重複期間を設けるのが安全だ。

2. 本店移転登記(法人の場合)

法人登記をしている場合、本店移転登記の手続きが必要になる。ここが最大のハードルだ。

移転の種類登録免許税手続き先
同一管轄内の移転(例:渋谷区内→渋谷区内)3万円移転先の管轄法務局
管轄外への移転(例:渋谷区→港区)6万円旧管轄+新管轄の法務局

同じ区内でバーチャルオフィスを変えるなら3万円で済むが、区をまたぐと6万円。バーチャルオフィスの月額が数千円であることを考えると、移転登記の費用だけで1年分以上の利用料に相当することになる。

管轄外への移転(区をまたぐ移転)は、旧管轄と新管轄の両方の法務局に申請が必要で、登録免許税も倍の6万円かかる。引っ越し先を選ぶ際は、できるだけ同一管轄内に収めることで費用を半額に抑えられる。

司法書士に依頼する場合の費用

司法書士に依頼する場合は別途報酬(2〜5万円程度)がかかる。自分で手続きすれば登録免許税だけで済むが、書類作成は慣れていないとやや面倒だ。

法人登記の手続き全体について詳しくは、バーチャルオフィスで法人登記する方法と注意点を参考にしてほしい。

3. 定款の変更(該当する場合)

定款に本店所在地を番地まで記載している場合、定款変更の手続きも必要になる。株式会社の場合は株主総会の特別決議が必要だ。

ただし、定款を「東京都○○区」のように最小行政区画までにしていれば、同じ区内の移転なら定款変更は不要。これは法人設立時の定款の書き方次第なので、法人登記の記事で解説している「定款には最小行政区画まで」というアドバイスが、まさにこの引っ越しリスクに備えたものだ。

4. 税務署・自治体への届出

本店所在地が変わると、以下の届出が必要になる。

  • 税務署: 異動届出書の提出
  • 都道府県税事務所: 事業開始等届出書(変更届)
  • 市区町村: 法人設立届出書(変更届)
  • 年金事務所: 適用事業所所在地変更届(従業員がいる場合)

いずれも届出書を提出するだけの手続きだが、数が多い。管轄が変わる場合は旧管轄・新管轄の両方に届出が必要になるケースもある。

5. 銀行・クレジットカード会社への届出

法人口座を持っている場合、住所変更の届出が必要だ。

僕はGMOあおぞらネット銀行の法人口座と三井住友カード ビジネスオーナーズを使っているが、もし引っ越しとなればそれぞれに住所変更の手続きをすることになる。ネット銀行ならオンラインで完結することが多いが、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の提出を求められるのが一般的だ。

手続きの順番に注意

本店移転登記が完了して新しい登記簿謄本を取得してからでないと、銀行の住所変更はできない。手続きの順番も重要になる。

銀行の住所変更には新しい登記簿謄本が必要なため、「移転登記の完了→登記簿謄本の取得→銀行届出」の順番を守ること。登記完了までに1〜2週間かかるため、その間は旧住所のまま口座を使い続けることになる。

法人口座の開設について詳しくは、バーチャルオフィスで銀行口座は開設できる?の記事で解説している。

6. 名刺・Webサイト・契約書類の更新

意外と見落としがちなのがこれだ。

  • 名刺の住所変更(印刷し直し)
  • Webサイト・SNSプロフィールの住所変更
  • 取引先への住所変更通知
  • 契約書・請求書テンプレートの更新
  • Googleビジネスプロフィール等の修正

一つひとつは小さな作業だが、積み重なると相当な手間になる。特に取引先への通知は、抜け漏れがあると郵便物が旧住所に届いてしまうリスクがある。

バーチャルオフィス引っ越しのトータルコスト

手続きを一通り見たところで、引っ越しにかかるトータルコストを整理してみよう。

費用の内訳

費用項目概算金額
本店移転登記(同一管轄内)3万円
本店移転登記(管轄外)6万円
司法書士報酬(依頼する場合)2〜5万円
登記簿謄本の取得(数通)1,500〜3,000円
名刺の再印刷2,000〜5,000円
新旧バーチャルオフィスの重複期間1〜2ヶ月分の月額

管轄外への移転で司法書士に依頼する場合、合計で10万円前後になることもある。自分で手続きしても5〜7万円程度はかかる計算だ。

コスト以上に「手間」がきつい

正直なところ、金額よりも各所への届出や書類更新の手間が大きいと思う。法務局、税務署、銀行、取引先…と一つずつ対応していくのは、本業の時間を確実に削られる。特にスモールビジネスで人手が少ない場合、引っ越しに数日間をまるまる費やすことになりかねない。

引っ越ししなくて済むバーチャルオフィスの選び方

ここまで読んで「引っ越しは避けたい」と思った方が大半だろう。僕もそう思ったからこそ、最初のバーチャルオフィス選びにはかなり慎重になった。

引っ越しリスクを最小化するために、契約前に確認しておくべきポイントを整理する。

運営会社の規模・安定性を重視する

バーチャルオフィスの引っ越しで最も避けたいのは、サービス終了による強制移転だ。自分の意思でなく引っ越しを余儀なくされるのは、コスト面でも精神面でもダメージが大きい。

この点で、大手企業が運営するサービスは安心感がある。GMOオフィスサポートはGMOインターネットグループ(東証プライム上場)、DMMバーチャルオフィスはDMM.comグループの運営だ。少なくとも突然サービスが消えるリスクは低い。

僕がGMOオフィスサポートを選んだ理由の一つも、この運営会社の安定性だった。年間3万円程度のコストで済んでいるサービスが、ある日突然なくなって移転登記に6万円かかる、というのは本末転倒だ。

料金体系の透明性を確認する

「月額は安いが、オプション料金がじわじわかさむ」というのは、引っ越しを考え始める典型的なきっかけだ。

契約前に確認すべきは以下の点だ。

  • 郵便転送料は月額に含まれるか、別途かかるか
  • 郵便物の到着通知(写真閲覧)は無料か有料か
  • 法人登記は追加料金なしで対応可能か
  • 最低契約期間と解約条件はどうなっているか

GMOオフィスサポートは転送料込みの料金体系でわかりやすいが、先述の通り郵便物の写真閲覧は+1,100円/月の別料金。一方、レゾナンスは郵便物の写真通知が無料で付いてくる。こういった細かい違いを事前に比較しておくことが、後からの不満を減らすことにつながる。

サービスの詳しい比較は、バーチャルオフィス主要10社比較の記事を参考にしてほしい。

将来の事業拡大を見越して選ぶ

今は住所利用だけで十分でも、半年後・1年後に電話転送や会議室が必要になるかもしれない。その際に「今のサービスにはその機能がない」となると乗り換えの検討が始まる。

契約前の段階で、そのサービスが提供しているオプションの幅を確認しておくのは大事なポイントだ。必要になったときにオプション追加で対応できれば、引っ越しは不要になる。

定款は「最小行政区画まで」にしておく

これは直接的な「選び方」ではないが、法人設立時にやっておくべき対策として非常に重要だ。

定款の本店所在地を「東京都○○区」までにしておけば、同じ区内でバーチャルオフィスを変更しても定款変更は不要。手続きの負担が一つ減る。

💡

これから法人設立する方は、定款の本店所在地を「東京都渋谷区」のように最小行政区画までの記載にしておこう。番地まで書いてしまうと、同じ区内の移転でも定款変更(株式会社なら株主総会の特別決議)が必要になる。

詳しくは法人登記の記事で解説しているので、これから法人設立する方はぜひ確認してほしい。

引っ越しを検討する前にやるべきこと

「今のバーチャルオフィスに不満がある」と感じたとき、いきなり乗り換えを決断するのは早い。まずは以下の対応を検討してみよう。

プラン変更で対応できないか確認する

不満の原因がオプションの不足や転送頻度にあるなら、同じサービス内でのプラン変更で解決する可能性がある。プラン変更なら住所は変わらないので、移転登記は不要だ。

運営会社に相談する

料金やサービスに対する要望を直接伝えてみるのも一つの手だ。長期利用者向けの割引や、今後のサービス改善予定を教えてもらえることもある。

本当にコストに見合うか計算する

月額料金の差額と、引っ越しにかかるトータルコスト(5〜10万円+手間)を天秤にかけてみよう。月額1,000円安いサービスに乗り換えても、移転コストを回収するのに4〜8年かかる計算になる。よほどの不満がない限り、現状維持の方が合理的というケースは多い。

乗り換え判断の目安:移転コスト(5〜10万円)を月額差額で割って回収期間を計算しよう。回収に3年以上かかるなら、サービス品質に致命的な問題がない限り現状維持が合理的だ。

まとめ

バーチャルオフィスの引っ越しは、手続きの多さとコストの両面でかなりの負担になる。

改めてポイントを整理すると、以下の通りだ。

  • 本店移転登記だけで3〜6万円かかる(司法書士に依頼するとさらに2〜5万円)
  • 法務局・税務署・銀行・取引先への届出が必要で、数日間は本業の時間が削られる
  • 月額差額で移転コストを回収するには数年かかるため、よほどの理由がない限り引っ越しは非合理的
  • だからこそ、最初の段階で「長く使えるサービス」を選ぶことが最善の対策

僕自身、GMOオフィスサポートを選ぶ際に重視したのは「料金の安さ」だけでなく、「運営会社の安定性」と「追加コストのわかりやすさ」だった。年間約3万円で法人登記から銀行口座開設まで問題なく対応できており、今のところ乗り換えを考える理由はない。

これからバーチャルオフィスを契約する方は、目先の月額だけでなく、「3年後もこのサービスを使い続けられるか」という視点で選ぶことをおすすめする。選び方の詳細はバーチャルオフィスの選び方ガイドで解説しているので、あわせて参考にしてほしい。

#バーチャルオフィス#引っ越し#住所変更#法人登記

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