「バーチャルオフィスとレンタルオフィス、名前は似てるけど何が違うの?」「自分にはどっちが合っている?」
結論から言うと、バーチャルオフィスは「住所だけ」を借りるサービスで、レンタルオフィスは「物理的な個室オフィス」を借りるサービスだ。提供されるもの、料金帯、向いている人がまったく異なる。
僕自身、合同会社を立ち上げるときに両方を比較検討した。2名でIT系の事業を運営しているのだが、仕事はフルリモートなので物理的なオフィスは不要。最終的にバーチャルオフィスを選び、半年以上利用している。
この記事では、バーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いを整理したうえで、コワーキングスペースも含めた3者の比較表を用意した。「自分にはどれが合っているか」の判断基準がわかる内容になっている。
筆者はGMOオフィスサポートの週1転送プラン(月額2,750円)を利用中。この住所で法人登記、法人口座開設、ビジネスクレカ発行まですべて済ませている。
バーチャルオフィスとレンタルオフィスの根本的な違い
まず、両者の本質的な違いを押さえておこう。
バーチャルオフィスは「住所機能」だけを提供するサービスだ。実際に通勤するオフィスはなく、ビジネス用の住所利用・郵便転送・法人登記といった「住所に紐づく機能」を低コストで使える。作業場所は自宅でもカフェでもどこでもOK。
一方、レンタルオフィスは「物理的な個室スペース」を提供するサービスだ。専用のデスクや椅子が置かれた個室を契約し、毎日通勤して仕事をする場所として使う。当然、住所利用や法人登記もそこで行える。
名前は似ているが、やっていることはまるで違う。バーチャルオフィスは「住所だけ」、レンタルオフィスは「場所ごと」。ここが最大のポイントだ。
料金の違い:月額コストは10倍以上の差になることも
両者を検討する際にまず目に入るのが料金差だろう。
バーチャルオフィスの月額は660円〜5,000円程度が相場だ。僕が利用しているGMOオフィスサポートの週1転送プランは月額2,750円(税込)。初期費用0円で郵便転送料も込みなので、年間コストは約3万円で収まっている。
レンタルオフィスの月額は3万円〜15万円以上が一般的だ。東京都内の1〜2名用個室でも月額5万円前後は覚悟する必要がある。さらに敷金・保証金として数ヶ月分の預け金が求められるケースも多く、初期費用だけで数十万円になることもある。
この料金差は「場所を提供しているかどうか」の違いにそのまま反映されている。バーチャルオフィスは1つの住所を数百社で共有するから安い。レンタルオフィスは専有の個室スペースを確保するから高い。どちらが良い悪いではなく、構造が違うだけだ。
僕の場合、創業期に月5万円のオフィス代を払うのは正直厳しかったので、バーチャルオフィスの年間3万円は助かった。浮いた数十万円を事業に投資できたのは、振り返ってみても正解だったと思っている。
サービス内容の違いを詳しく比較する
料金以外にも、提供されるサービスの中身は大きく異なる。ここでは項目ごとに違いを整理する。
作業スペース
レンタルオフィスには専用の個室が用意されている。デスク・椅子・電源はもちろん、エアコンやネット回線も整備済み。毎日通勤する拠点として使える。
バーチャルオフィスには作業スペースはない。一部のサービスでは会議室を時間貸しでレンタルできるが、日常的に仕事をする場所は自分で用意する必要がある。
リモートワーク中心の事業なら、これはデメリットというよりも「不要なものを省いてコストを抑えている」と考えたほうが正確だ。僕も普段は自宅で仕事をしているので、わざわざオフィスに通う必要がなく、バーチャルオフィスで十分だった。
住所利用と法人登記
ここは両者ともに対応している。レンタルオフィスは当然、自社の住所として使えるし、法人登記もできる。
バーチャルオフィスも法人登記対応のサービスを選べば問題なく登記できる。僕もバーチャルオフィスの住所で合同会社を登記して、その住所でGMOあおぞらネット銀行の法人口座を開設した。約1週間で審査通過。バーチャルオフィスだからといって不利になることはなかった。
郵便物の受け取り
レンタルオフィスは実際にオフィスがあるので、郵便物はそこに届く。すぐに確認できるのは大きなメリットだ。
バーチャルオフィスの場合、届いた郵便物は運営会社が預かり、自宅等に転送してくれる。僕が利用している週1転送プランだと、週に1回まとめて届く流れだ。正直なところ、届いた郵便物の中身を事前に写真で確認するには月額+1,100円のオプションが必要で、そこは地味に不便だと感じている。
ただ、急ぎの書類が頻繁に届くような事業でなければ、週1転送で困ることはほとんどない。
GMOオフィスサポートでは郵便物の写真確認オプション(月額+1,100円)を追加すると、転送前に届いた郵便物の中身を画像で確認できる。急ぎの書類が多い方は検討する価値がある。
来客対応・会議室
レンタルオフィスはそのまま打ち合わせスペースとして使える。クライアントを呼んでの商談もスムーズだ。共用の会議室が使えるサービスも多い。
バーチャルオフィスは基本的に来客対応はできない。一部のサービスではオプションで会議室を時間貸ししているが、あくまでオプションだ。来客対応が頻繁にある事業には不向きである。
契約期間と柔軟性
バーチャルオフィスは最短1ヶ月〜6ヶ月契約が主流で、合わなければ比較的簡単に解約や乗り換えができる。初期費用もゼロか数千円程度のサービスが多いので、「まず試してみる」がしやすいのは大きなポイントだ。
レンタルオフィスは半年〜2年契約が多く、中途解約には違約金がかかるケースもある。敷金や内装費を含めた初期投資が大きいぶん、簡単には乗り換えにくい構造だ。
バーチャルオフィス・レンタルオフィス・コワーキングスペース3者比較表
「コワーキングスペースとの違いも知りたい」という方も多いと思うので、3者をまとめて比較する。
| 比較項目 | バーチャルオフィス | レンタルオフィス | コワーキングスペース |
|---|---|---|---|
| 月額費用 | 660円〜5,000円 | 3万円〜15万円 | 1万円〜5万円 |
| 初期費用 | 0円〜1万円 | 敷金・保証金数ヶ月分 | 0円〜数万円 |
| 作業スペース | なし | 専用個室あり | 共有デスクあり |
| 住所利用 | あり | あり | プランによる |
| 法人登記 | 対応サービスあり | 可能 | 一部可能 |
| 郵便物対応 | 転送(週1〜即日) | 直接受取可能 | 施設で受取可能 |
| 会議室 | オプション(時間貸し) | 共用会議室あり | 共用会議室あり |
| プライバシー | 自宅住所を隠せる | 自宅住所を隠せる | 自宅住所を隠せる |
| 契約期間 | 1ヶ月〜 | 半年〜2年 | 1ヶ月〜 |
| 向いている人 | 住所だけ必要な人 | 専用の仕事場が必要な人 | 作業場所も欲しい人 |
この表を見るとわかる通り、3つのサービスは「何を提供するか」が根本的に違う。バーチャルオフィスは住所機能に特化、レンタルオフィスは個室スペースの提供、コワーキングスペースはその中間のような位置付けだ。
コワーキングスペースは作業場所としてはレンタルオフィスより安く使えるが、個室ではなく共有スペースなのでWeb会議が多い場合には周囲の音が気になることもある。住所利用や法人登記に対応していないプランもあるので、その点は事前の確認が必要だ。
コワーキングスペースは「作業場所のみ」のプランと「住所利用・法人登記込み」のプランで料金が大きく異なる。法人登記が目的の場合は、契約前に必ず登記対応の有無を確認しよう。
どっちを選ぶべき?判断基準はシンプル
ここまで比較してきたが、選び方の判断基準は実はシンプルだ。
「物理的な仕事場所が必要かどうか」、これだけである。
レンタルオフィスが向いているケース
毎日通勤する拠点が必要で、来客対応も頻繁にある。チームメンバーと同じ場所で働きたい。そういう場合はレンタルオフィスが適している。
バーチャルオフィスが向いているケース
一方、リモートワークが中心で、住所さえあれば事業が回る。自宅やカフェで仕事ができるし、来客対応もほぼない。そういう場合はバーチャルオフィスで十分だ。
僕は後者のパターンだった。2名でIT系の事業を運営しているが、普段の仕事は完全リモート。オフィスに通う必要がないのに月額数万円を払うのは、単純にもったいない。年間コスト約3万円のバーチャルオフィスにして、浮いた分を事業に回すほうが合理的だと判断した。
- フリーランス・個人事業主で自宅中心に仕事をしている
- 法人設立にあたって自宅住所を公開したくない
- 創業期で固定費をできるだけ抑えたい
- ネットショップやWeb系の事業で来客対応がほぼない
士業(弁護士・税理士など)、人材派遣業、古物商、不動産業など事務所の実態が求められる業種では、バーチャルオフィスでは許認可が取れない場合がある。該当する業種の方はレンタルオフィスを選ぶ必要がある。
バーチャルオフィスからレンタルオフィスへの移行は簡単にできる
「最初はバーチャルオフィスで始めて、事業が軌道に乗ったらレンタルオフィスに移る」という考え方もある。実際、これはかなり合理的な選択だ。
バーチャルオフィスは初期費用が安く、契約期間も短めなので撤退コストが低い。まだ事業の方向性が固まりきっていない段階で高額なレンタルオフィスを契約するのはリスクがある。
移行時に必要な手続き
レンタルオフィスに移行する場合、法人登記の住所変更手続きが必要になるが、法務局への届出で対応可能だ。「最初から完璧な環境を整える」より「小さく始めて、必要になったらアップグレードする」ほうが、特に創業期は安全だと思う。
住所変更時には法務局への届出のほか、銀行口座・クレジットカード・取引先への住所変更通知も必要になる。移行を見据えるなら、届出先をリストアップしておくとスムーズだ。
僕自身、半年以上バーチャルオフィスを使っていて、今のところレンタルオフィスに移行する必要性は感じていない。事業の性質上、リモートで完結するので、わざわざ物理的なオフィスを持つ理由がないからだ。
まとめ
バーチャルオフィスとレンタルオフィスは名前こそ似ているが、提供するものがまったく異なるサービスだ。
- バーチャルオフィスは「住所だけ」を月額660円〜で利用できるサービス
- レンタルオフィスは「個室スペースごと」を月額3万円〜で借りるサービス
- 選ぶ基準はシンプルで、物理的な仕事場所が必要かどうかで決まる
- 迷ったらバーチャルオフィスから始めて、必要に応じてアップグレードするのが安全
リモートワークが中心で住所だけ必要な方は、バーチャルオフィスのコスパが圧倒的だ。バーチャルオフィスの基本を知りたい方はバーチャルオフィスとは?仕組み・メリット・デメリットを解説も参考にしてほしい。
具体的にサービスを比較検討したい方は、バーチャルオフィスおすすめ8選|料金・機能を徹底比較でまとめている。
費用を抑えたい方には格安バーチャルオフィスおすすめ6選も参考になるはずだ。


