「バーチャルオフィスって、法的にグレーなサービスじゃないの?」「使ったら違法にならない?」
こうした不安を抱えて検索している方は少なくないと思う。特にこれから起業や法人設立を考えている人にとって、住所を借りるサービスの合法性は気になるところだろう。
結論から言うと、バーチャルオフィスの利用は違法ではない。法律上も認められた正当なサービスであり、法人登記にも利用できる。
ただし、使い方や業種によっては注意すべきポイントがあるのも事実だ。この記事では、バーチャルオフィスに関わる法律を整理したうえで、合法的に利用するために押さえておくべき注意点を解説する。
筆者は2名の合同会社でGMOオフィスサポートを利用中。バーチャルオフィスの住所で法人登記、銀行口座開設、クレジットカード発行まで問題なく行えている。
そもそもバーチャルオフィスはなぜ「違法」と疑われるのか
まず、バーチャルオフィスが違法ではないかと疑われる背景を整理しておく。
大きな原因は、過去に犯罪の拠点として悪用されたケースがあったことだ。身元を隠したい人間が、本人確認の甘いバーチャルオフィスを使って詐欺行為を行った事例がニュースで取り上げられた。
このイメージが残っているために、「バーチャルオフィス=違法」「バーチャルオフィス=犯罪に使われるもの」という誤解が生まれている。
しかし、これはあくまで悪用した人間が違法だったのであって、バーチャルオフィスというサービス自体が違法なわけではない。包丁を犯罪に使った人がいるからといって、包丁の販売が違法にならないのと同じ話だ。
しかも、こうした悪用を防ぐために法律が整備されており、現在は契約時の本人確認が法律で義務化されている。詳しく見ていこう。
バーチャルオフィスに関わる法律を整理する
バーチャルオフィスの合法性を理解するうえで、知っておくべき法律は主に3つある。
犯罪収益移転防止法 ── 本人確認が義務
バーチャルオフィスの合法性に最も深く関わるのが犯罪収益移転防止法だ。
この法律はマネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐために制定されたもので、バーチャルオフィス事業者は「特定事業者」に指定されている。つまり、利用者の契約時に本人確認を行うことが法的義務なのだ。
契約時に行われる本人確認の内容
具体的には以下のような確認が行われる。
- 運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類の提出
- 利用目的・事業内容の確認
- 反社会的勢力に該当しないことの確認
審査や本人確認なしで契約できるバーチャルオフィスは、事業者側が犯罪収益移転防止法に違反している可能性がある。利用者を守る仕組みがないサービスは避けよう。
裏を返せば、審査や本人確認なしで使えるバーチャルオフィスは、事業者側が法律に違反している可能性がある。利用者としても、きちんと審査のあるサービスを選ぶことが自分を守ることにつながる。
筆者がGMOオフィスサポートに申し込んだときも、本人確認書類の提出とクレジットカード情報の登録が求められた。翌日には審査完了の連絡が来たが、この審査プロセスがあること自体が「法律をきちんと守っているサービスだ」という安心材料になった。
会社法 ── 法人登記に利用可能
会社法上、法人の本店所在地にバーチャルオフィスの住所を使うことはまったく問題ない。法律にバーチャルオフィスの住所を除外する規定はなく、実際に多くの企業がバーチャルオフィスの住所で法人登記を行っている。
筆者も東京都内のGMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立した。法務局への登記申請で何か指摘を受けることもなく、普通に手続きが完了している。
特定商取引法 ── ネットショップの表記にも利用可能
ネットショップを運営する場合、特定商取引法に基づいて事業者の住所を表記する義務がある。この表記先としてもバーチャルオフィスの住所は利用可能だ。
自宅の住所をネット上に公開したくないという理由でバーチャルオフィスを検討している方もいると思うが、その使い方は法律上何の問題もない。
| 法律 | バーチャルオフィスとの関係 |
|---|---|
| 犯罪収益移転防止法 | 事業者に本人確認を義務付け。利用者を守る仕組み |
| 会社法 | 本店所在地としてバーチャルオフィス住所を登記可能 |
| 特定商取引法 | ネットショップの事業者表記にも利用可能 |
いずれの法律もバーチャルオフィスの利用を禁止しておらず、法的に認められたサービスであることがわかる。
バーチャルオフィスを合法的に使うための注意点
バーチャルオフィスの利用自体は合法だ。ただし、「何でもOK」というわけではなく、使い方を間違えるとトラブルになる可能性がある。ここからは、合法的に使うために知っておくべき注意点を具体的に解説する。
注意点1:許認可が必要な業種は事前に確認する
バーチャルオフィスの利用が合法でも、業種によっては許認可の要件を満たせない場合がある。
事務所の実態が求められる業種一覧
例えば以下のような業種では、物理的な事務所の実態が求められることがある。
| 業種 | 事務所要件 |
|---|---|
| 弁護士・税理士・司法書士などの士業 | 事務所の実態が必要 |
| 人材派遣業 | 20平米以上の事務所が必要 |
| 古物商(中古品販売) | 営業所の実態が必要 |
| 建設業 | 事務所の常設が必要 |
| 不動産業 | 事務所の独立性が必要 |
上記の許認可業種でバーチャルオフィスの住所を使うと、申請が通らない可能性が高い。自分の業種が該当しないか、必ず事前に確認しよう。
これらの業種でバーチャルオフィスの住所を使おうとしても、許認可の申請が通らない可能性が高い。
逆に言えば、こうした許認可が不要な業種(IT、Web制作、コンサルティング、EC運営など)であれば、バーチャルオフィスの利用にまったく制限はない。
筆者が運営しているのはIT系の事業だが、許認可が必要な業種ではないため、バーチャルオフィスの住所で何の問題もなく事業を行えている。
注意点2:本人確認審査のあるサービスを選ぶ
前述の通り、犯罪収益移転防止法により本人確認は法的義務だ。「審査なし」「即日利用」を過度にアピールしているサービスは、法律を遵守していない可能性があるため避けるべきだ。
本人確認をしっかり行っているサービスを選ぶことは、自分自身の信頼性を守ることにもつながる。審査の甘いサービスは犯罪に利用されるリスクが高く、その住所自体の信頼性が損なわれかねない。
GMOオフィスサポートやDMMバーチャルオフィスのような大手サービスであれば、犯罪収益移転防止法に基づく審査をきちんと行っているので安心だ。
注意点3:納税地・届出住所の扱いを理解しておく
法人の場合、バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記すれば、原則としてその住所の所轄税務署に法人税を納めることになる。
個人事業主の場合は少し事情が異なる。所得税の納税地は原則として「住所地」(自宅)だ。開業届にバーチャルオフィスの住所を「事業所」として記載すること自体は問題ないが、納税地は自宅のままになるケースが一般的だ。
個人事業主の納税地は原則「自宅住所」。バーチャルオフィスの住所を開業届に記載しても、納税地の変更が必要かどうかは税理士に確認しておくと安心だ。
このあたりは税理士に相談するのが確実だが、「バーチャルオフィスの住所を使っているから脱税になる」というようなことはない。適切に届出を行えば、法的に何の問題もない。
注意点4:住所を使った虚偽の表示はしない
当たり前の話だが、バーチャルオフィスの住所を使って虚偽の情報を発信する行為は違法だ。
例えば、実際には東京都内にいないのに「東京のオフィスでスタッフが常駐しています」と謳ったり、バーチャルオフィスの住所を使って実態のない取引を行ったりすることは、詐欺や景品表示法違反に該当し得る。
バーチャルオフィスは「住所を借りる」サービスであって、「存在しない事務所をでっちあげる」サービスではない。この点を誤解せずに使っていれば、法的リスクはない。
筆者がバーチャルオフィスで実際にやれたこと
法律の話が続いたので、ここからは実体験の話をする。
筆者はGMOオフィスサポートの週1転送プラン(月額2,750円)を利用している。2名でIT系の合同会社を立ち上げる際にバーチャルオフィスを契約し、以下のことをすべて問題なく行えた。
合同会社の法人登記は、東京都内のバーチャルオフィス住所で行った。法務局での手続きで住所について指摘されることは一切なく、スムーズに登記が完了している。
法人口座の開設は、GMOあおぞらネット銀行で行った。申し込みから約1週間で審査通過。バーチャルオフィスの住所であることが理由で追加書類を求められることもなかった。
法人クレジットカードも三井住友カード ビジネスオーナーズを一発で取得できている。その後、Freeeカードも追加で発行した。
正直なところ、バーチャルオフィスの住所だと銀行口座やクレカの審査が厳しいのでは、と不安もあった。でも実際にやってみると、住所が理由で断られたことは一度もない。
年間コストは約3万円。東京都内でオフィスを借りたら月額10万円以上かかることを考えると、合法的なサービスでこれだけコストを抑えられるのは大きなメリットだ。
- 東京都内の住所で合同会社の法人登記
- GMOあおぞらネット銀行で法人口座の開設
- 三井住友カード ビジネスオーナーズ、Freeeカードの法人クレジットカード発行
- 開業届・各種届出への住所記載
すべて法的な問題は一切なく完了している。
違法リスクを避けるために:サービス選びのポイント
バーチャルオフィスの利用が合法であることは説明した通りだが、どのサービスを選ぶかも重要だ。選び方を間違えると、トラブルに巻き込まれるリスクがある。
最も確実なのは、大手企業が運営するサービスを選ぶことだ。
GMOオフィスサポートはGMOインターネットグループ(東証プライム上場)が運営しており、犯罪収益移転防止法への対応はもちろん、拠点の信頼性やサービスの継続性も申し分ない。筆者がこのサービスを選んだ理由も、「GMOグループが運営している」という信頼性が大きかった。
料金の安さだけでサービスを選ぶと、運営会社の実態がよくわからなかったり、審査がずさんだったりするケースもある。住所は事業の根幹に関わる部分なので、信頼性を最優先にして選ぶことをおすすめする。
迷ったら、上場企業グループが運営するサービスを選ぶのが最も確実。運営元の信頼性がそのまま住所の信頼性につながる。
バーチャルオフィスの基本から知りたい方は、バーチャルオフィスとは?仕組み・メリット・デメリットを解説を参考にしてほしい。
バーチャルオフィスの「怪しさ」が気になっている方には、バーチャルオフィスは怪しい?不安を解消する5つのチェックポイントも参考になると思う。
バーチャルオフィスでの法人登記について詳しく知りたい方は、バーチャルオフィスで法人登記する方法と注意点をどうぞ。
まとめ
バーチャルオフィスの利用は違法ではない。法律で認められた正当なサービスであり、正しく使えば法的リスクはない。
- バーチャルオフィスの利用は完全に合法。会社法・特定商取引法でも認められている
- 犯罪収益移転防止法で本人確認が義務化されており、審査のあるサービスを選ぶことが重要
- 許認可が必要な業種は事前確認が必要。IT・Web・EC等の業種なら制限なし
- 筆者はバーチャルオフィスの住所で法人登記・銀行口座・クレカまですべて問題なく完了
「違法かも」という不安は、正しい知識を持てば解消できる。信頼できるサービスを選び、自分の業種に問題がないことを確認したうえで、安心してバーチャルオフィスを活用してほしい。


