バーチャルオフィスで法人登記するのは、完全に合法だ。 会社法上、本店所在地にバーチャルオフィスの住所を使うことに何の制限もない。
僕自身、GMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立・法人登記している。その後、銀行口座もクレジットカードも問題なく開設できた。
この記事では、バーチャルオフィスで法人登記する具体的な手順・必要書類・注意点を解説する。「これから法人を設立したいけど、バーチャルオフィスの住所で本当に大丈夫?」という方は、ぜひ参考にしてほしい。
IT系の事業を2名で運営している。GMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立し、銀行口座・クレカも開設済みだ。
バーチャルオフィスで法人登記する全体の流れ
まず、手続きの全体像を把握しておこう。バーチャルオフィスを使った法人登記の流れは以下の通りだ。
流れ自体は通常の法人設立と変わらない。唯一の違いは、ステップ1で「バーチャルオフィスの住所を取得する」という工程が入ること。それ以降の手続きは、賃貸オフィスで法人登記する場合とまったく同じだ。
ステップ1:法人登記対応のバーチャルオフィスを契約する
最初にして最も重要なステップが、法人登記に対応したバーチャルオフィスを選ぶことだ。
ここで注意してほしいのが、すべてのバーチャルオフィスが法人登記に対応しているわけではないという点。例えばNAWABARIは法人登記に非対応だ。また、GMOオフィスサポートのように「最安プランでは法人登記不可、上位プランなら可能」というケースもある。
法人登記対応のバーチャルオフィス料金比較
法人登記に対応している主要サービスの月額料金を比較する。
| サービス名 | 法人登記対応プランの月額 | 初期費用 | 郵便転送 |
|---|---|---|---|
| バーチャルオフィス1 | 880円 | 5,500円 | 月4回 |
| レゾナンス | 990円〜 | 5,500円 | 月1回 |
| GMOオフィスサポート | 1,650円〜 | 0円 | 月1回(転送料込み) |
| DMMバーチャルオフィス | 2,530円〜 | 5,500円 | 月1回(転送料別) |
| NAWABARI | 非対応 | - | - |
月額だけ見ればバーチャルオフィス1が最安だが、初期費用や転送料の有無で年間コストは変わる。単純に月額だけで比較しないことが大事だ。
僕がGMOオフィスサポートを選んだ理由
僕は初期費用0円・転送料込みという料金体系のわかりやすさと、「GMOの住所だと銀行口座が開設しやすい」というXでの口コミが決め手でGMOオフィスサポートに決めた。
契約プランは週1転送(月額2,750円)。正直なところ、法人登記だけが目的なら月1転送プラン(1,650円)で十分だ。ただ、事業で使う以上、郵便物は早めに届いてほしかったので余裕を持ったプランにした。
申し込みから審査完了までは翌日。追加書類の要求もなく、拍子抜けするほどスムーズだった。
バーチャルオフィスの選び方やおすすめサービスについてもっと詳しく知りたい方は、バーチャルオフィスおすすめ8選も参考にしてほしい。
ステップ2:定款を作成する
バーチャルオフィスの住所が使えるようになったら、次は定款の作成だ。
定款には「本店の所在地」を記載する必要がある。ここにバーチャルオフィスの住所をそのまま記載すればOKだ。
定款に記載する住所のポイント
定款の「本店所在地」には2つの書き方がある。
- 最小行政区画まで: 「東京都○○区」(番地を含めない)
- 番地まで含める: 「東京都○○区○○一丁目○番○号」
実務上のおすすめは最小行政区画までにしておくこと。番地まで定款に入れてしまうと、将来バーチャルオフィスを変更した際に定款変更の手続き(と費用)が発生する。
定款には「東京都○○区」とだけ書き、登記申請書のほうに番地まで含めた正確な住所を記載する、という使い分けが一般的だ。こうすれば、同一区内でバーチャルオフィスを移転しても定款変更は不要になる。
株式会社と合同会社の違い
株式会社の場合、定款を公証役場で認証してもらう必要がある(認証手数料3〜5万円)。合同会社は定款認証が不要なので、その分コストと手間を省ける。
僕は合同会社を選んだ。設立費用が株式会社の約半分で済むこと、2名での事業運営には合同会社の方がシンプルだったことが理由だ。
ステップ3:法務局で法人登記を申請する
定款ができたら、いよいよ法務局への登記申請だ。
法人登記に必要な書類
合同会社の場合、主に以下の書類が必要だ。
- 合同会社設立登記申請書
- 定款(2部)
- 代表社員の印鑑証明書
- 払込証明書(資本金の振込を証明するもの)
- 印鑑届出書
株式会社の場合は、これに加えて定款認証の書類や就任承諾書などが加わる。
登記申請の方法
法務局への申請は、窓口・郵送・オンラインの3つの方法がある。
法務局の窓口に直接行く方法は初めてでも質問できる安心感があるが、平日しか受け付けていない。郵送は便利だが、不備があると修正に時間がかかる。オンライン申請は「登記・供託オンライン申請システム」から可能で、ICカードリーダーがあれば自宅から手続きできる。
freee会社設立やマネーフォワード会社設立などの無料サービスを使えば、質問に答えるだけで必要書類を自動作成してくれる。書類作成が不安な方は活用するのがおすすめだ。
登記申請のポイント
登記申請書の「本店」欄には、バーチャルオフィスの住所を番地まで正確に記載する。ここはバーチャルオフィスから通知された住所をそのまま転記すればOKだ。
登記完了まで通常1〜2週間。問題がなければ、これで法人登記は完了だ。
ステップ4:登記完了後にやること
法人登記が終わったら、以下の手続きを進めよう。
税務署・自治体への届出
- 法人設立届出書(税務署・都道府県税事務所・市区町村)
- 青色申告の承認申請書
- 給与支払事務所等の開設届出書
これらの届出先住所にも、バーチャルオフィスの住所を使う。
法人口座の開設
法人登記が終わったら、できるだけ早く法人口座を開設しよう。
バーチャルオフィスの住所で法人口座を作れるのか不安に思う方は多いと思う。結論から言うと、問題なく作れる。
僕はGMOあおぞらネット銀行に申し込んで、約1週間で審査通過。一発でOKだった。同じGMOグループという点で親和性があったのかもしれないが、特に苦労した記憶はない。
その後、三井住友カード ビジネスオーナーズも一発で審査通過。バーチャルオフィスの住所だからといって弾かれることはなかった。
法人口座の開設について詳しくは、バーチャルオフィスで銀行口座は開設できる?の記事で解説している。
バーチャルオフィスで法人登記する際の注意点
手順自体はシンプルだが、事前に知っておくべき注意点がいくつかある。
法人登記に対応していないサービスがある
繰り返しになるが、すべてのバーチャルオフィスが法人登記に対応しているわけではない。
- NAWABARI: 法人登記非対応(ネットショップの住所利用がメイン)
- GMOオフィスサポート: 最安の転送なしプラン(660円)は法人登記不可。月1転送プラン(1,650円〜)以上が必要
契約前に必ず「法人登記OK」のプランかどうかを確認しよう。
業種によっては許認可が取れない
バーチャルオフィスでの法人登記自体は合法だが、業種によっては営業許認可が取れないケースがある。
- 士業(弁護士、税理士、行政書士など):事務所の実態が必要
- 人材派遣業:20平米以上の事務所スペースが必要
- 古物商:営業所の実態が求められる
- 金融業(貸金業など):固定の営業所が必要
- 不動産業:事務所の独立性が求められる
これらの業種で事業を行う予定がある場合、バーチャルオフィスではなく実態のあるオフィスを検討する必要がある。IT系やコンサルティング、EC事業などであれば、バーチャルオフィスでまったく問題ない。
住所変更時にコストが発生する
法人登記後にバーチャルオフィスを解約・変更すると、本店移転登記の手続きが必要になる。
本店移転登記にかかる費用は以下の通り。
- 同一管轄内の移転: 登録免許税3万円
- 管轄外への移転: 登録免許税6万円
つまり、安さだけでバーチャルオフィスを選んで後から乗り換えると、移転登記の費用がかさむ。最初の段階で長く使えるサービスを選ぶことが重要だ。
登記住所は公開情報になる
法人登記すると、本店所在地は国税庁の法人番号公表サイトや登記情報提供サービスで誰でも検索できるようになる。
バーチャルオフィスの住所であることが外部にわかる点は理解しておこう。とはいえ、バーチャルオフィスの住所で法人登記している会社は大量にあるので、それ自体が問題になることはまずない。
僕がGMOオフィスサポートで法人登記した体験
ここからは、僕が実際にGMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立したときの体験を共有する。
全体のスケジュール感
バーチャルオフィスの契約から法人口座の開設まで、ざっくり以下のようなスケジュールだった。
| ステップ | かかった期間 |
|---|---|
| GMOオフィスサポート契約〜審査通過 | 翌日 |
| 定款作成〜登記申請 | 約1週間 |
| 登記完了 | 約1〜2週間 |
| 銀行口座開設(GMOあおぞらネット銀行) | 約1週間 |
| クレジットカード開設(三井住友カード ビジネスオーナーズ) | 約1ヶ月 |
トータルで約1〜2ヶ月で、法人設立から銀行口座・クレカまで一通り揃った。
ハマったポイント・気づき
大きなトラブルはなかったものの、いくつか事前に知っておけばよかったことがある。
GMOオフィスサポートの最安プランでは法人登記できない。 月額660円の転送なしプランに惹かれがちだが、法人登記には月1転送プラン(1,650円〜)以上が必要だ。僕は最初から週1転送プラン(2,750円)で契約したが、法人登記だけが目的なら月1転送プランで十分だったかもしれない。
三井住友カード ビジネスオーナーズは届くまでに時間がかかる。 審査自体は早かったのだが、口座振替依頼書の郵送やり取りがあり、カードが届くまで約1ヶ月かかった。バーチャルオフィスの郵便転送を経由するので、その分余計に時間がかかる点は想定しておいた方がいい。
年間コストの実感
僕の場合、週1転送プラン(月額2,750円)で年間約33,000円。この金額で法人登記、東京都内の住所利用、郵便転送、銀行口座、クレジットカードまで全部揃った。
賃貸オフィスを借りたら最低でも月10万円はかかるので、年間コスト3万円程度で法人としての体裁が整うのは破格だ。大きな後悔はない。
GMOオフィスサポートについてもっと詳しく知りたい方は、GMOオフィスサポートの口コミ・評判の記事で詳しくレビューしている。
法人登記するバーチャルオフィスの選び方
最後に、法人登記用のバーチャルオフィスを選ぶ際のポイントを整理する。
コストは「年間トータル」で比較する
月額だけでなく、初期費用・転送料・オプション費用を含めた年間トータルコストで比較しよう。
例えば、月額が安くても初期費用5,500円のサービスと、月額は少し高いが初期費用0円のサービスでは、年間で見ると逆転することがある。
長く使えるサービスを選ぶ
先述の通り、法人登記後に住所を変更すると本店移転登記のコスト(3〜6万円)が発生する。「とりあえず安いところ」で始めるより、3年・5年と長期で使えるサービスを最初から選ぶ方が結果的にお得だ。
大手運営(GMOインターネットグループ、DMMなど)のサービスは突然のサービス終了リスクが低く、この点で安心感がある。
銀行口座開設のしやすさも考慮する
法人登記したら、次に必要なのは法人口座の開設だ。バーチャルオフィスの住所で銀行口座を開設する際、サービスによって審査の通りやすさに差があるという声もある。
GMOオフィスサポートの場合、同じGMOグループのGMOあおぞらネット銀行との連携があり、口座開設がスムーズだ。僕も実際に一発で審査が通った。
まとめ
バーチャルオフィスでの法人登記は完全に合法で、手続きも通常の法人設立とほぼ同じだ。
押さえておくべきポイントをまとめると、以下の通りである。
- 法人登記対応のプランを選ぶ(全サービス・全プランが対応しているわけではない)
- 定款の本店所在地は最小行政区画までにしておくと、将来の移転時に定款変更が不要
- 業種によっては許認可が取れない(士業、人材派遣、古物商など)
- 住所変更時に移転登記費用(3〜6万円)がかかるため、最初から長く使えるサービスを選ぶ
僕はGMOオフィスサポートの住所で合同会社を設立し、年間約3万円で法人としての一通りの環境(住所・銀行口座・クレカ)が揃った。コストを抑えて法人を立ち上げたい方にとって、バーチャルオフィスは非常に現実的な選択肢だ。
法人登記対応のバーチャルオフィスを比較検討したい方は、バーチャルオフィスおすすめ8選もあわせて読んでみてほしい。
バーチャルオフィスの基本から知りたい方は、バーチャルオフィスとは?の記事で仕組みを解説している。


