「バーチャルオフィスって便利そうだけど、デメリットはないの?」
契約前にこう考えるのは当然だ。月額数千円で都心の住所が使えるなんて、うまい話には裏があるんじゃないかと疑いたくなるよね。
結論から言うと、バーチャルオフィスにはデメリットがある。ただし、事前に把握しておけば致命的な問題にはならない。
僕自身、GMOオフィスサポートを使って合同会社を運営している。約半年使ってきた中で「完璧なサービスではないな」と感じる場面はあった。でも、大きな後悔はしていない。年間コスト約3万円で法人登記ができて、銀行口座もクレジットカードも問題なく開設できているので、十分に元は取れている。
この記事では、バーチャルオフィスのデメリットを正直に洗い出したうえで、それぞれ「実際どうなのか」「どう対処すればいいのか」をセットで解説する。
GMOオフィスサポートを約半年使っている。使い続けているので総合的には満足だが、正直に「ここは微妙だな」と感じるポイントも書く。
郵便物がリアルタイムに届かない
バーチャルオフィスの仕組み上、郵便物はまず運営会社の拠点に届き、そこから自宅に転送される。この転送には数日〜1週間のタイムラグが発生する。
僕が使っているGMOオフィスサポートの週1転送プランだと、最大1週間は届いた郵便物が手元に来ない。しかもGMOの場合、月額+1,100円のオプションに加入しないと届いた郵便物の写真すら確認できないので、「何が届いたかわからないまま待つ」という地味に不便な状況になる。
正直なところ、この写真閲覧が有料という仕組みは微妙だと感じている。何が届いたかわからないのはやっぱり気持ち悪い。
レゾナンスなど一部のバーチャルオフィスでは、届いた郵便物の写真通知が無料で提供されている。郵便物の頻度が高い人はサービス選びの段階で通知機能の有無を比較しておくとよい。
実際どう対処しているか
とはいえ、実務上は大きな支障が出ていない。IT系の事業をやっていると、そもそも紙の郵便物がほとんど来ないんだよね。届くのはほぼDMか広告で、重要な書類は銀行口座やクレカの開設時くらいだ。
そういったタイミングでは「そろそろ届くはずだな」と意識しておけば対応できる。本当に急ぎの書類が頻繁に届く事業をしている場合は、即日転送や来店受取に対応したバーチャルオフィスを選んだほうが安心だ。
許認可が取れない業種がある
これはバーチャルオフィスの最も深刻なデメリットだ。業種によっては、物理的な事務所スペースが申請の要件になっており、バーチャルオフィスの住所では許認可が通らない。
代表的な業種を挙げると以下の通りだ。
- 人材派遣業 — 20平米以上の事務所スペースが必要
- 古物商 — 営業所の実態が求められる(自治体によっては通る場合もある)
- 士業(弁護士・税理士・司法書士など) — 事務所の独立性が求められるケースが多い
- 宅地建物取引業 — 固定の事務所が必須
- 有料職業紹介事業 — 事業所の面積要件あり
自分の業種で許認可が必要かどうかは、契約前に必ず管轄の行政機関に確認しよう。契約後に「申請が通らない」と判明すると、解約・住所変更の手間とコストが発生する。
事前確認で回避できる
このデメリットは致命的に見えるが、実は契約前に確認すれば100%回避できる。自分の事業で必要な許認可を洗い出し、バーチャルオフィスの住所で申請が通るかどうかを管轄の行政機関に確認するだけだ。
逆に言えば、IT系やコンサル、Webサービス運営、ライター、デザイナーなど、特別な許認可が不要な業種であればまったく問題ない。僕もIT系の事業だが、許認可関連で困ったことは一度もない。
バーチャルオフィスの合法性について詳しくは、バーチャルオフィスは違法?合法的に使うための注意点で解説している。
住所が他社と被り、バーチャルオフィスだとバレる可能性がある
バーチャルオフィスでは同じ住所を複数の企業が共有している。そのため、住所でGoogle検索されるとバーチャルオフィスのサービス名がヒットしたり、同じ住所に大量の法人が登記されていることがわかったりして、バーチャルオフィスだと推測される可能性がある。
特にBtoBの取引で「この会社の住所、検索してみよう」と調べられた場合、バーチャルオフィスだとわかるケースはゼロではない。
バレたところで問題になることは少ない
ただ、これは半年使ってきた実感として言えるのだが、バレたからといって実害が出ることはほぼない。
まず、取引先がわざわざこちらの住所をGoogle検索するケース自体が多くない。そして仮にバーチャルオフィスだとわかったとしても、「だから取引しません」となる場面はまず想像できない。
コロナ以降、リモートワークが当たり前になり、固定オフィスを持たない企業は珍しくなくなった。GMOやDMMといった大手がバーチャルオフィス事業を展開していること自体が、社会的な認知の広がりを示している。
住所バレのリスクについて詳しくは、バーチャルオフィスの住所はバレる?取引先や銀行への影響で解説している。
来客対応や打ち合わせスペースがない場合がある
バーチャルオフィスは基本的に住所と郵便転送を提供するサービスだ。物理的なオフィススペースがないので、急に「オフィスに伺いたい」と言われても対応できない。
会議室を併設しているバーチャルオフィスもあるが、すべてのサービス・拠点が対応しているわけではない。たとえばGMOオフィスサポートは渋谷・三軒茶屋など一部拠点に会議室があるが、全拠点対応ではない。
オンライン主体なら問題ない
僕の場合、この点はまったく困っていない。打ち合わせはオンラインミーティングで完結するし、対面が必要な場合はカフェやコワーキングスペースの会議室で対応すれば済む。
ただし、お客さんとの対面打ち合わせが月に何回も発生する事業なら、バーチャルオフィスではなくレンタルオフィスのほうが合っているかもしれない。そもそもの選択を見直したほうがいいケースだ。
銀行口座開設のハードルが上がることがある
バーチャルオフィスの住所で法人口座を開設する際、銀行によっては審査が厳しくなる場合がある。特にメガバンク(三菱UFJ、みずほ、三井住友など)では、バーチャルオフィスだと審査のハードルが上がるという話はよく聞く。
銀行側としては「事業の実態があるか」を確認したいわけで、物理的なオフィスがないことをネガティブに捉えるケースがあるのは事実だ。
ネット銀行なら問題なく開設できる
ここは筆者の体験をそのままお伝えするが、GMOオフィスサポートの住所でGMOあおぞらネット銀行の法人口座を申し込んだら、約1週間で審査通過した。追加書類の要求もなく、あっけないくらいスムーズだった。
その後、三井住友カード ビジネスオーナーズやFreeeカードも問題なく発行できている。
つまり、銀行選びさえ間違えなければ、バーチャルオフィスの住所でも法人口座は開設できる。GMOあおぞらネット銀行や住信SBIネット銀行など、バーチャルオフィスに理解のあるネット銀行を選ぶのがポイントだ。
GMOオフィスサポートとGMOあおぞらネット銀行は同じGMOグループ。組み合わせて利用するとスムーズに口座開設できる可能性が高い。
銀行口座開設について詳しくは、バーチャルオフィスで銀行口座は開設できる?対応銀行と手順を解説を参考にしてほしい。
住所移転のリスクがある
バーチャルオフィスの住所は、運営会社がビルオーナーとの賃貸契約に基づいて提供している。つまり、運営会社の都合やビルの建て替え・再開発などで、住所が変更になるリスクがゼロではない。
法人登記にバーチャルオフィスの住所を使っている場合、住所が変わると登記変更の手続きが必要だ。合同会社の本店移転登記には3万円(管轄外だと6万円)の登録免許税がかかるので、地味に痛い出費になる。
住所移転が発生すると、登記変更だけでなく銀行・税務署・年金事務所など各所への届出も必要になる。手間とコストの両面でダメージが大きいため、運営会社の安定性は契約前に必ず確認しよう。
大手を選ぶことでリスクを最小化する
このリスクを完全にゼロにする方法はない。ただし、運営会社の規模と実績でリスクの大きさは大きく変わる。
GMOインターネットグループのような東証プライム上場企業が運営しているサービスであれば、拠点を突然閉鎖する可能性は極めて低い。逆に、実績の浅い個人運営のバーチャルオフィスでは、サービス終了のリスクが相対的に高くなる。
バーチャルオフィスは「住所を預ける」サービスなので、運営会社の信頼性は最優先で考えるべきポイントだ。安さだけで選ぶと、このリスクを見落としがちなので注意してほしい。
バーチャルオフィスの信頼性について詳しくは、バーチャルオフィスは怪しい?不安を解消する5つのチェックポイントも参考になる。
法人住民税の均等割は住所地で課税される
意外と見落とされがちなのがこの点だ。法人住民税の均等割は登記上の住所地の自治体に納税する。バーチャルオフィスの住所が東京23区内であれば、23区の均等割(年額7万円〜)が課される。
「自宅は地方だけど、東京の一等地住所が欲しいからバーチャルオフィスを借りよう」と考えている場合、法人住民税が東京基準になる点は理解しておく必要がある。
ほとんどの場合、大きな差にはならない
ただし、法人住民税の均等割は資本金1,000万円以下・従業員50人以下の最低ランクで年額7万円だ。これは全国どこの自治体でもほぼ同額(地方でも年額5万円〜7万円程度)なので、東京だからといって極端に高くなるわけではない。
バーチャルオフィスの月額コスト(数千円程度)と合わせても、賃貸オフィスを借りる場合の年間100万円以上と比べれば圧倒的に安い。税金面のデメリットは、コスト全体で見れば微々たるものだ。
デメリットを踏まえて「使う価値があるか」の判断基準
ここまでバーチャルオフィスのデメリットを正直に書いてきた。改めて整理すると以下の通りだ。
- 郵便物の転送にタイムラグがある
- 許認可が取れない業種がある
- 住所が他社と被り、バーチャルオフィスだとバレる可能性がある
- 来客対応・打ち合わせスペースがない場合がある
- 銀行口座開設でハードルが上がることがある
- 運営会社の都合で住所が変わるリスクがある
- 法人住民税の均等割は住所地で課税される
こう並べるとそれなりの数があるように見える。ただ、半年使ってきた実感として、これらのデメリットが日常的に困る場面はほとんどなかった。
では、デメリットを踏まえたうえでバーチャルオフィスを使う価値があるのはどんな人か。
使う価値がある人
- 自宅住所を公開したくない人 — 法人登記や特定商取引法の表記で自宅がバレるリスクを回避できる
- コスト重視で、物理的なオフィスが不要な人 — 年間3万円〜で都心の住所が使えるのは大きい
- リモートワーク主体のIT系・Web系・コンサル系 — 来客対応がほぼないならデメリットが顕在化しにくい
- 法人設立時のスタートコストを抑えたい人 — 賃貸オフィスの初期費用(敷金・礼金・保証金)が不要
自宅住所を公開したくない方は、バーチャルオフィスと自宅はどっちがいい?も参考にしてほしい。
慎重に検討すべき人
- 許認可が必要な業種(人材派遣、古物商、士業など) — そもそもバーチャルオフィスでは申請が通らない
- 来客や対面打ち合わせが頻繁にある事業 — レンタルオフィスのほうが適している可能性がある
- 紙の郵便物が頻繁に届く事業 — 転送の遅延がストレスになる
- バーチャルオフィスにはデメリットがあるが、事前に把握すれば対処可能
- 最も深刻なのは許認可の制限。自分の業種が該当しないか必ず事前確認を
- 郵便転送の遅れや住所バレは実務上ほぼ問題にならないことが多い
- 大手運営のサービスを選ぶことで住所移転リスクを最小化できる
まとめ
バーチャルオフィスは万能なサービスではない。郵便転送のタイムラグ、許認可の制限、住所バレのリスクなど、契約前に知っておくべきデメリットは確かに存在する。
ただし、僕が半年使ってきた率直な感想としては、デメリットよりもメリットのほうが明らかに大きい。年間約3万円で東京都内の住所が使え、自宅住所を公開せずに法人運営ができる。銀行口座もクレカも問題なく作れた。この費用対効果を考えると、デメリットは十分に許容範囲内だ。
大事なのは、デメリットを知らないまま契約するのではなく、理解したうえで「自分の事業に影響があるかどうか」を判断すること。この記事で挙げたポイントが自分にとって致命的でなければ、バーチャルオフィスはコスパの良い選択肢だ。
具体的にどのサービスを選ぶか検討したい方は、バーチャルオフィスおすすめ比較を参考にしてほしい。


