個人事業主として開業するとき、自宅住所を名刺やWebサイトに載せたくないと感じる方は少なくない。
特にフリーランスや副業で事業を始める場合、自宅がマンションだと管理規約の問題もあるし、ネットショップを開くなら特商法で住所の公開が必要になる。かといって、オフィスを借りるほどの資金はない。
そんな個人事業主の悩みを解決してくれるのがバーチャルオフィスだ。月額660円〜で事業用の住所が手に入り、開業届にも使える。
筆者もGMOオフィスサポートのバーチャルオフィスで事業を始めた。開業届の提出から銀行口座・クレカの開設まで、すべてバーチャルオフィスの住所で問題なく完了している。
この記事では、個人事業主におすすめのバーチャルオフィス7社を料金・開業届対応・郵便転送の観点で比較する。
個人事業主がバーチャルオフィスを使うべき3つの理由
「そもそも個人事業主にバーチャルオフィスって必要なの?」という方もいると思うので、先に結論を書いておく。
- 自宅住所の公開を避けられる:名刺・Webサイト・特商法表記に自宅を載せなくて済む
- 開業届の納税地に使える:バーチャルオフィスの住所で開業届を提出可能
- 事業の信頼性が上がる:都心一等地の住所を使えるため、取引先への印象が良くなる
特に自宅住所の保護は大きい。ネットで事業をしていると、住所が公開情報になる場面は意外と多い。国税庁の法人番号公表サイト(個人事業主は対象外だが、将来法人化する際)、特商法の表記、取引先への名刺――こういった場面で自宅のマンション名と部屋番号が出回るのは、正直避けたいところだ。
月額660円〜で自宅住所を守れるなら、保険としても十分ペイする。
個人事業主におすすめのバーチャルオフィス7社 比較表
まずは7社の基本スペックを一覧で比較しよう。個人事業主が特にチェックすべきポイント(月額料金・初期費用・開業届対応・郵便転送)を中心にまとめている。
| サービス名 | 月額料金 | 初期費用 | 開業届 | 郵便転送 | 拠点数 |
|---|---|---|---|---|---|
| GMOオフィスサポート | 660円〜 | 0円 | ○ | ○(転送料込み) | 19拠点 |
| 和文化推進協会 | 550円 | 0円※ | ○ | ○(月1回) | 1拠点 |
| DMMバーチャルオフィス | 660円〜 | 5,500円 | ○ | ○(別途実費) | 14拠点 |
| バーチャルオフィス1 | 880円 | 5,500円 | ○ | ○(月4回) | 3拠点 |
| レゾナンス | 990円〜 | 5,500円 | ○ | ○(月1回〜) | 11拠点 |
| NAWABARI | 1,100円〜 | 0〜5,500円 | ○ | ○(月1回) | 1拠点 |
| ワンストップビジネスセンター | 5,280円〜 | 10,780円 | ○ | ○ | 48拠点 |
※和文化推進協会はNPO法人への入会金6,600円・年会費6,600円が別途必要
7社すべてで開業届の納税地として利用可能だ。では、個人事業主の視点で各サービスの特徴を詳しく見ていこう。
個人事業主向けバーチャルオフィス7社の特徴
1. GMOオフィスサポート ── コスパ最強、個人事業主の最初の一歩に
月額660円〜・初期費用0円。個人事業主がバーチャルオフィスを選ぶなら、まず検討すべきサービスだ。
- 初期費用0円で開業時の資金を節約できる
- 郵便転送料金が月額に含まれている
- GMOグループ運営で銀行口座の開設実績が豊富
- 全国19拠点から住所を選べる
筆者の利用実績
筆者自身、GMOオフィスサポートを使って事業を運営している。DMMバーチャルオフィスと最後まで迷ったが、初期費用0円が決め手だった。開業時は何かとお金がかかるので、初期コストがゼロなのは精神的にもありがたい。
実際に使い始めてからは、バーチャルオフィスの住所でGMOあおぞらネット銀行の口座を開設し、三井住友カード ビジネスオーナーズも発行できた。「バーチャルオフィスだと銀行口座が作れないのでは?」という不安は杞憂だった。
年間コストは約3万円(週1転送プランの場合)。月額2,750円で住所利用+週1の郵便転送が使えるので、個人事業主のランニングコストとしては十分許容範囲だ。
届いた郵便物の写真閲覧はオプション(月額+1,100円)。転送されるまで何が届いているかわからないので、急ぎの書類が届く可能性がある方は注意しよう。
ただ、この価格帯でそこまで求めるのは贅沢かもしれない。
2. レゾナンス ── 電話対応が必要な個人事業主に
月額990円〜で、電話秘書サービスが付いたプランも選べる。
個人事業主の中には、取引先からの電話対応が必要なケースもあるだろう。自分で電話に出られない時間帯がある場合、電話秘書は強い味方になる。
都内一等地(港区浜松町・中央区銀座など)の住所が使えるのも、取引先への信頼性を重視する個人事業主には魅力的だ。将来法人化する際の登記住所としても、月額990円〜で対応している。
初期費用5,500円がかかるので、「まずは最小コストで試したい」という方にはGMOの方が向いている。一方で「電話対応まで含めてプロっぽい体制を整えたい」という方にはレゾナンスが最適だ。
3. バーチャルオフィス1 ── 法人化も視野に入れたい個人事業主に
月額880円で法人登記にも対応。個人事業主として開業した後、将来的に法人化を考えている方にとってコスパの良い選択肢だ。
- 初期費用5,500円
- 月4回の郵便転送付き(実費相当額)
- 法人口座開設保証制度あり
「法人口座開設保証制度」は他社にはないユニークなサービスで、法人化後の口座開設に不安がある方には心強い。拠点は東京都内を中心に3拠点と少なめだが、住所が1つあれば十分という方なら問題ない。
4. DMMバーチャルオフィス ── 大手ブランドで安心したい個人事業主に
月額660円〜とGMOと同水準。DMMグループの知名度・ブランド力は、取引先へのアピールにも使える。
ただし個人事業主として比較するなら、初期費用5,500円がかかる点と、郵便転送が別途実費な点は押さえておきたいところ。月額はGMOと同じ660円だが、トータルコストでは差が出る。
| 比較項目 | GMOオフィスサポート | DMMバーチャルオフィス |
|---|---|---|
| 月額料金 | 660円〜 | 660円〜 |
| 初期費用 | 0円 | 5,500円 |
| 郵便転送料 | 基本料込み | 別途実費 |
| 拠点数 | 19拠点 | 14拠点 |
DMMのサービスやブランドに愛着がある方、DMMの拠点エリアが自分の活動エリアと合う方には良い選択だ。
5. NAWABARI ── ネットショップ運営の個人事業主に
月額1,100円〜。BASEの公式パートナーで、ネットショップ運営者に特化したサービスだ。
個人事業主でネットショップを運営している方の一番の悩みは、特商法で自宅住所を公開しなければならないこと。NAWABARIなら特商法表記にそのまま使える住所を提供してくれる。
プライバシーマーク取得済みで、GPS・盗聴器チェックも実施済み。「住所を提供する」というサービスの性質上、セキュリティ面に力を入れているのは安心材料だ。
NAWABARIは法人登記には非対応。将来法人化を考えている方は、GMOオフィスサポートやレゾナンスなど法人登記対応のサービスを選ぼう。
あくまで「ネットショップの特商法対策」「個人のプライバシー保護」が主な用途だ。
6. 和文化推進協会 ── 月額最安を求める個人事業主に
月額550円は業界最安クラス。NPO法人が運営するクリエイター・フリーランス支援サービスだ。
ただし注意点が複数ある。
- 利用にはNPO法人への入会が必要(入会金6,600円・年会費6,600円)
- 住所は京都1拠点のみ。東京の住所は使えない
- クリエイティブ系の活動が対象で、業種に制限がある場合も
月額は最安だが、入会金・年会費を含めた初年度の実質コストは約13,200円。GMOオフィスサポート(初年度約7,920円〜)よりも高くなる。
京都の住所でOK、かつクリエイティブ系の事業をしている個人事業主には良い選択肢だが、東京住所が欲しい方には向かない。
7. ワンストップビジネスセンター ── フルサービスが欲しい個人事業主に
月額5,280円〜と他社に比べて高めだが、その分電話秘書・会議室・FAXなどフルサービスが揃っている。
全国48拠点と拠点数は最多クラス。地方で活動している個人事業主でも、最寄りの拠点を見つけやすいのが強みだ。
ただしコスト面では、個人事業主が最初に選ぶサービスとしてはハードルが高い。初期費用も10,780円かかるため、月額数千円以上を投資する覚悟がある方向けのサービスだ。すでに売上が安定していて、対外的な信頼性やサービスの充実度を重視したい方に向いている。
個人事業主がバーチャルオフィスを選ぶときの3つのポイント
7社の特徴を見たところで、個人事業主が選ぶ際に押さえるべきポイントを整理する。
3つ目の「銀行口座の開設実績」は見落とされがちだが、かなり重要だ。契約前にXやブログで「そのバーチャルオフィスの住所で口座を開設できた」という口コミがあるか確認しておこう。
筆者がGMOオフィスサポートを選んだ理由の一つも、Xで「GMOの住所で銀行口座を開設できた」という口コミを複数見つけたからだった。実際、GMOあおぞらネット銀行で問題なく口座を開設できている。
バーチャルオフィスの住所で開業届を出す方法
「バーチャルオフィスの住所で本当に開業届が出せるのか?」と不安に思う方も多いので、ここで解説しておく。
開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)では「納税地」を記載する欄がある。ここにバーチャルオフィスの住所を記載して提出することが可能だ。
ただし、自宅以外を納税地にする場合は「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」の提出が必要になる。バーチャルオフィス契約後、開業届と一緒に提出しておこう。
手続き自体は難しくない。流れとしては以下のとおりだ。
- バーチャルオフィスを契約する
- 開業届の「納税地」にバーチャルオフィスの住所を記載
- 「納税地の届出書」も合わせて作成
- 税務署に提出(e-Taxでも可)
筆者の場合、バーチャルオフィスの契約から開業届の提出まで特にトラブルなく完了した。税務署から「バーチャルオフィスだから不可」と言われたこともないので、安心して手続きを進めてほしい。
開業届についてさらに詳しく知りたい方は「バーチャルオフィスとは?仕組み・メリット・デメリットを解説」も参考にしてほしい。
【筆者の体験】個人事業主としてバーチャルオフィスを使ってみた感想
最後に、筆者がGMOオフィスサポートを実際に使って感じたことを正直に書いておく。
IT系の事業を2名で運営している。バーチャルオフィスを使い始めて約半年が経った。
良かったこと
- 自宅住所を一切公開せずに事業ができている。名刺にもWebサイトにもバーチャルオフィスの住所を記載していて、プライバシーは完全に守られている
- 銀行口座もクレカも問題なく開設できた。GMOあおぞらネット銀行は約1週間で審査通過。三井住友カード ビジネスオーナーズも一発で通った
- 年間約3万円のコストで住所+郵便転送が使える。実オフィスを借りることを考えたら破格だ
正直微妙に感じたこと
- 郵便物の写真閲覧に月額+1,100円かかる。何が届いたか、転送されるまでわからない。急ぎの書類があるときは少し不安になる
- 電話サービスがない。筆者の事業では不要だが、取引先から電話がかかってくる業種の方は注意が必要だ
総合的には大きな後悔はない。初期費用0円で始められて、年間約3万円で事業用住所が持てるのは、個人事業主にとってコスパの良い投資だと感じている。
GMOオフィスサポートの詳しいレビューは「GMOオフィスサポートの口コミ・評判」にまとめているので、気になる方はそちらもどうぞ。
まとめ:個人事業主のバーチャルオフィスはGMOオフィスサポートが最有力
個人事業主がバーチャルオフィスを選ぶなら、以下の基準で決めるのがシンプルだ。
- コスパ重視・初めての一歩 → GMOオフィスサポート(月額660円〜・初期費用0円)
- 電話対応が必要 → レゾナンス(月額990円〜)
- 法人化も見据えたい → バーチャルオフィス1(法人登記込み月額880円)
- ネットショップの特商法対策 → NAWABARI(月額1,100円〜)
- 大手ブランド重視 → DMMバーチャルオフィス(月額660円〜)
迷ったらGMOオフィスサポートから検討するのがおすすめだ。初期費用0円・郵便転送料込み・銀行口座の開設実績も豊富で、個人事業主が最初に選ぶバーチャルオフィスとしてバランスが良い。筆者自身も使っていて、コスト以上の価値を感じている。
バーチャルオフィスは月額660円〜と気軽に始められるので、自宅住所の公開に少しでも抵抗がある方は、まず検討してみてほしい。
バーチャルオフィスの基本的な仕組みについては「バーチャルオフィスとは?」、全体比較は「バーチャルオフィスおすすめ8選」、法人登記については「バーチャルオフィスで法人登記する方法」で詳しく解説している。


