「バーチャルオフィスの住所で税務署に届出して、本当に大丈夫なんだろうか」
これからバーチャルオフィスを契約しようとしている人、すでに利用中で確定申告の時期を迎えた人、どちらにとっても「税務署」との関係は気になるところだと思う。
結論から言うと、バーチャルオフィスの住所を納税地にすること自体は合法であり、税務署に問題視されることはない。 個人事業主も法人も、正しい手順で届出を行えばトラブルは起きない。
ただし、開業届や法人設立届出書の納税地の書き方、消費税関連の届出、税務調査時の対応など、知っておくべきポイントはある。この記事では、バーチャルオフィスと税務署に関する不安を一つずつ整理していく。
2名の合同会社でGMOオフィスサポートを利用中。バーチャルオフィスの住所で法人登記し、法人設立届出書も問題なく受理されている。約半年利用して、税務署から指摘を受けたことは一度もない。
バーチャルオフィスの住所を納税地にできるか
まず、最も基本的な疑問から解消しておこう。
個人事業主の場合
個人事業主の納税地は、所得税法第15条により**原則として「住所地」(自宅)**と定められている。
ただし、事業所がある場合は納税地の変更届(正式名称:「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」)を税務署に提出することで、事業所の住所を納税地にすることができる。つまり、バーチャルオフィスの住所を事業所として届け出れば、そこを納税地にすることは法的に認められている。
実務としては2つのパターンがある。
2つの納税地パターン
パターン1:自宅を納税地にする(おすすめ)
開業届の納税地に自宅住所を書き、「上記以外の住所地・事業所等」の欄にバーチャルオフィスの住所を記載する。税務署からの郵便物は自宅に届くので、確実に受け取れる。
パターン2:バーチャルオフィスの住所を納税地にする
開業届の納税地にバーチャルオフィスの住所を書く。この場合、税務署からの郵便物はバーチャルオフィスに届くため、郵便転送サービスで受け取ることになる。
どちらを選んでも税務署に問題視されることはない。 ただ、税務署からの重要な通知を見逃さないようにするなら、パターン1(自宅を納税地にする)のほうが実務的に安心だ。
個人事業主は自宅を納税地にしておく(パターン1)のがおすすめ。税務署からの郵便物を確実に受け取れるうえ、バーチャルオフィスを乗り換えても納税地の変更届が不要になる。
法人の場合
法人は個人事業主よりシンプルだ。法人税法第16条により、法人の納税地は本店所在地と定められている。
バーチャルオフィスの住所で法人登記していれば、その住所が本店所在地=納税地になる。会社法上、本店所在地にバーチャルオフィスの住所を使うことに何の制限もないので、これはまったく問題のない話だ。
法人は個人事業主と違い、登記した本店所在地がそのまま納税地になる。別途「納税地の変更届」を出す必要はない。
僕もGMOオフィスサポートの住所で合同会社を登記しているが、本店所在地=納税地としてそのまま税務関連の届出を行っている。
法的根拠の整理
| 区分 | 根拠法 | 納税地 |
|---|---|---|
| 個人事業主 | 所得税法第15条 | 原則は住所地。届出により事業所の住所も可 |
| 法人 | 法人税法第16条 | 本店所在地(=登記上の住所) |
いずれもバーチャルオフィスの住所を排除する規定はなく、正しく届出すれば合法的に納税地として使える。
開業届・法人設立届出書の書き方
納税地にできることはわかった。次は、実際の届出書にどう書くかを見ていこう。
個人事業主:開業届の書き方
開業届(「個人事業の開業・廃業等届出書」)には、住所に関する記入欄が2つある。
「納税地」欄 ── ここには納税地として届け出る住所を書く。自宅を納税地にするなら自宅住所、バーチャルオフィスの住所を納税地にするならバーチャルオフィスの住所を書く。
「上記以外の住所地・事業所等」欄 ── 納税地と別に事業所がある場合に記載する。自宅を納税地にした場合はここにバーチャルオフィスの住所を書く。
記入欄の書き方
書き方としては次のようになる。
| 開業届の欄 | 自宅を納税地にする場合 | VO住所を納税地にする場合 |
|---|---|---|
| 納税地 | 自宅住所 | バーチャルオフィスの住所 |
| 上記以外の住所地・事業所等 | バーチャルオフィスの住所 | 自宅住所 |
提出先は、納税地の所轄税務署だ。自宅を納税地にするなら自宅エリアの管轄税務署、バーチャルオフィスの住所を納税地にするならそのエリアの管轄税務署に提出する。
開業届の書き方をより詳しく知りたい方は、バーチャルオフィスの住所で開業届を出す方法にまとめている。
法人:法人設立届出書の書き方
法人の場合は、法人設立届出書の**「本店又は主たる事務所の所在地」欄にバーチャルオフィスの住所を記載**する。登記簿謄本に記載されている本店所在地と同じ住所を書けばいい。
法人設立届出書は、法人設立から2ヶ月以内に本店所在地の所轄税務署に提出する。加えて、都道府県税事務所と市区町村にも届出が必要だ(東京23区の場合は都税事務所のみ)。
僕が合同会社を設立したときは、GMOオフィスサポートの住所を本店所在地として法人設立届出書を提出した。税務署から確認の連絡が来たり、追加書類を求められたりすることは一切なかった。 普通に受理されて、それ以降何の問題もなく事業を続けている。
管轄税務署の決まり方
「自分の管轄税務署がどこかわからない」という人は、国税庁のサイトで郵便番号から検索できる。バーチャルオフィスの住所の郵便番号を入力すれば、所轄の税務署が表示される。
税務調査でバーチャルオフィスは不利になるか
「バーチャルオフィスの住所を使っていると、税務調査で目をつけられるのでは?」
この不安を持つ人は少なくないが、結論としてバーチャルオフィスだから税務調査が入りやすいという事実はない。
税務調査は住所の種類ではなく事業実態を見る
税務調査は、申告内容が正しいかどうかを確認するためのものだ。調査官が見るのは売上や経費の計上が適正か、帳簿が正しく記録されているかといった事業の中身であって、「住所がバーチャルオフィスかどうか」はチェックの対象にならない。
そもそも、バーチャルオフィスの住所を納税地にしている事業者は年々増えており、税務署にとっても珍しい存在ではない。「バーチャルオフィスだから怪しい」というロジックで調査対象を選定するようなことはないのだ。
実地調査は実際の事業場所に来る
仮に税務調査が入ったとしても、実地調査はバーチャルオフィスの住所には来ない。
調査官が実際に訪問するのは、事業活動の実態がある場所だ。自宅で仕事をしているなら自宅に来ることが多い。個人事業主やスモールビジネスの場合、自宅に調査官が来るケースは珍しくない。
調査場所の選択肢
それ以外にも、会議室を使って対応する方法や、税理士の事務所で対応する方法もある。「バーチャルオフィスだから調査場所がなくて困る」ということにはならない。
帳簿・書類の管理がすべて
税務調査で問題になるかどうかは、結局のところ帳簿や書類を正しく管理しているかどうかに尽きる。
バーチャルオフィスを使っていようがいまいが、帳簿が整っていなければ指摘を受ける。逆に、バーチャルオフィスを使っていても帳簿が適正であれば何の問題もない。住所の種類は関係ない。
税務調査への備えについてはバーチャルオフィス利用者の確定申告ガイドでも詳しく書いているので、あわせて確認してほしい。
よくある心配と実態
バーチャルオフィスと税務署に関して、よく見かける心配事をピックアップして実態を整理する。
「バーチャルオフィスだと税務署に怪しまれるのでは?」
怪しまれない。 前述の通り、バーチャルオフィスの住所で届出する事業者は年々増えている。税務署の職員はバーチャルオフィスの存在を当然知っているし、住所を見て「これはバーチャルオフィスだな」と認識したところで、それ自体が問題視されることはない。
バーチャルオフィスの利用は法律上認められた行為だ。怪しまれることを心配するよりも、正しく届出を行うことに意識を向けたほうが建設的だ。
「税務署からの郵便物が届かないと困るのでは?」
郵便転送サービスがあれば問題ない。 バーチャルオフィスの住所を納税地にしている場合、税務署からの通知もバーチャルオフィス宛に届く。きちんと転送してくれるサービスを使っていれば、受け取りに困ることはない。
ただし、転送には数日のタイムラグがある点は覚えておきたい。税務調査の事前通知など、期限が絡む郵便物が心配な場合は、自宅を納税地にしておくのが無難だ。 そうすれば税務署からの郵便物は直接自宅に届く。
僕の場合は法人なので本店所在地が納税地になっているが、e-Taxで電子申告しているし、重要な連絡はメールで来ることがほとんど。郵便転送で困ったことは今のところない。
「消費税の届出はどうなる?」
消費税に関する届出も、通常の届出と同じ手順だ。バーチャルオフィスの住所を納税地にしていれば、消費税の届出書にもその住所を記載するだけでいい。
消費税課税事業者届出書、簡易課税制度選択届出書、インボイス登録申請など、消費税関連の届出はいくつかあるが、バーチャルオフィスだから特別な手続きが必要になることはない。 提出先も、法人税や所得税と同じ所轄税務署だ。
「納税地を変更したら面倒なことにならない?」
バーチャルオフィスを乗り換えたり解約したりした場合、納税地が変わることがある。その際は**「納税地の変更届」を提出する**必要があるが、手続き自体は書類1枚で済む。
ただし、届出を忘れると税務署からの郵便物が旧住所に届いてしまう可能性がある。バーチャルオフィスを変更する場合は、忘れずに届出を出そう。
バーチャルオフィスの解約・乗り換え時に納税地の変更届を出し忘れると、税務署からの重要な通知が届かなくなるリスクがある。契約変更のタイミングで必ず届出を行おう。
この点でも、個人事業主が自宅を納税地にしておくメリットがわかる。バーチャルオフィスを変えても自宅住所は変わらないので、納税地の変更届が不要だ。
筆者のケース(GMOオフィスサポート)
法律や制度の話が続いたので、僕自身の実体験を紹介しておく。
僕はGMOオフィスサポートの東京都内の住所で合同会社を設立し、法人設立届出書を本店所在地の所轄税務署に提出した。
結果として、税務署から何か問い合わせが来たことは一度もない。
法人設立届出書はもちろん、都税事務所への届出、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など、設立に伴う各種届出もすべて問題なく受理されている。
日常の税務関連の郵便物は、GMOオフィスサポートの週1転送プラン(月額2,750円)で受け取っている。法人税の申告はe-Taxで行っているので、紙の書類のやり取りが発生する場面は少ない。転送のタイムラグで困った経験はない。
正直なところ、バーチャルオフィスの住所で法人設立する前は「税務署に突っ込まれたらどうしよう」と不安もあった。でも実際にやってみると、拍子抜けするくらい何も起きなかった。きちんと届出さえすれば、税務署はバーチャルオフィスかどうかなんて気にしていないというのが実感だ。
- GMOオフィスサポートの住所で合同会社の法人設立届出書を提出 → 問題なく受理
- 都税事務所、青色申告承認申請、給与支払事務所開設届出書もすべて受理済み
- 税務署からの問い合わせ・指摘は一度もなし
- 郵便物は週1転送で受け取り。e-Tax併用で困ったことなし
バーチャルオフィスでの法人設立手続きの詳細はバーチャルオフィスで法人登記する方法と注意点、GMOオフィスサポートの使い勝手についてはGMOオフィスサポートの口コミ・評判もあわせてどうぞ。
まとめ
バーチャルオフィスの住所を使って税務署に届出すること自体は、まったく問題ない。正しい手順で届出を行えば、トラブルが起きることはない。
- バーチャルオフィスの住所を納税地にすることは合法。所得税法・法人税法でも認められている
- 開業届・法人設立届出書は正しい欄に住所を記載するだけ。特別な手続きは不要
- 税務調査でバーチャルオフィスだから不利になることはない。帳簿の管理が大事
- 不安な点があれば税理士に相談するのが確実。個別の事情に合わせたアドバイスがもらえる
税務関連の不安は、「よくわからないから怖い」というパターンが大半だ。この記事で整理したように、バーチャルオフィスと税務署の関係に特別なリスクはない。正しく届出をして、帳簿をきちんと管理する。やるべきことはバーチャルオフィスを使っていない事業者と同じだ。
納税地の選び方で迷っている場合や、複数の届出を同時に行う場合は税理士に相談するのが確実。個別の事情に合わせた判断は専門家に任せよう。
なお、個別の税務判断が必要な場面では、税理士に相談することをおすすめする。特に、納税地の選び方で迷っている場合や、複数の届出を同時に行う場合は、専門家の意見を聞いたほうが安心だ。
確定申告の全体像を把握したい方はバーチャルオフィス利用者の確定申告ガイド、勘定科目や仕訳の詳細はバーチャルオフィスの勘定科目と仕訳方法も参考にしてほしい。


